「男は不幸であった。なぜなら〜」のやつを自分でもやってみた
明けましておめでとうございます。
新しい年の記念として、短編を作りました。
折角なので、ずっと前にXであった『「男は不幸であった。なぜなら〜」の続きをスラスラかけるやつは才がある』を試すために、短編を書き上げました。
よろしくお願いします。
男は不幸であった。なぜなら、
中国の竹林奥地で血に飢えたジャイアントパンダの群れに囲まれていたからである。
「そしてアタチはワンちゃん!!!!!!!」
僕は雲呑。上のは突然聞こえてきた謎の叫び。なんだったんだろうね今の?
まぁそれはそれとして、見てよあの男。そう、血に飢えたジャイアントパンダの群れに囲まれてる男だよ。わざわざ中国本場のジャイアントパンダが見たくてやってきたんだって。
多分彼が見たかったのは、動物園にいるようなジャイアントパンダだったろうね。そう、あの毎日笹食べてゴロゴロして、やってきた人間達から「かわいー!!!!」って言われてるようなおとなしいやつ。
でも残念、ジャイアントパンダ皆が、動物園の可愛らしい子達のようなのばかりとは限らないんだよ。血に飢えたジャイアントパンダが存在しているのが何よりの証拠さ。
・・・・・・えっ?なんで血に飢えたジャイアントパンダがいるのかって?ジャイアントパンダが何科動物だったか思い出してごらん?
答えはクマ科だよ。そう、いくら可愛くてもクマの仲間なんだ。そりゃ血に飢えたやつぐらい出てくるさ。
「な、なんてことだど!?まさか中国在中の野性のパンダに会いにいったら、血に飢えたパンダの群れに囲われるなんて!」
「ニンゲン、コロス・・・・・・!」
「くそぅ、目が明らかに動物園のパンダと違うど!殺意に満ち溢れているど!———でも、ただやられるわけにはいかねぇど!オデだって、竹林の奥地に到達できる程度には実力があるんだど!」
へぇ、あの男やるね。ジャイアントパンダ達の武器である竹槍での攻撃を次々とかわしながら、着実に血に飢えたジャイアントパンダを一体、また一体と倒してるよ。
・・・・・・え?なんでジャイアントパンダ達が竹槍持ってるのかって?
そりゃ、ここが竹林だからだよ。竹林で作れる武器といえば竹製、竹製武器の代表といったら竹槍だろう?
・・・・・・そっちじゃない?ジャイアントパンダ達が武器を持ててる理由?クマ科動物は普通武器を持てないはずだって?
ああそれはね、ジャイアントパンダの体の仕組みに理由があるんだよ。ジャイアントパンダの主食は笹、そしてジャイアントパンダ達は笹を食べる時、笹を手に持つだろう?それが理由に繋がるのさ。
ジャイアントパンダは他のクマ科動物と違って、物を手で持つための筋肉が発達してるんだ。だから笹を手で持って食べることができるんだね。そして同じ要領で武器を扱うことだってできるんだね。すごいね。
「はぁ、はぁ、なんでだど!?倒しても倒してもキリがないど!」
おっと男の方は何体も血に飢えたジャイアントパンダを倒したようだけど、ちょっと限界が近いようだね。それに対して血に飢えたジャイアントパンダ達の方は、まだまだピンピンしてるやつの方が多いよ。どっちが有利かなんて、一目瞭然だね。
「こうなったら・・・・・・オデは空に行くど!」
あっ、男が跳んだね。すごいね、舞空術使えたんだアイツ。
「いくら血に飢えたパンダでも、流石に空には対応できねぇど!それを利用してオデは空から攻撃させてもらうど!卑怯だなんで思わないでほしいど!」
男がなんか手のひらからビーム砲みたいなやつを、地上に向けてバンバン撃ち始めたね。すごいね、どういう仕組みなんだろねアレ。
でも残念ながら男の攻撃は一回もジャイアントパンダ達に当たってないよ。だって、
「はぁはぁ、流石にこれだけ打てば血に飢えたパンダ達は全滅・・・・・・してるかどうかわからないど!?パンダ達の姿が見えないど!?」
「ニンゲン、コロス・・・・・・」
「!?一体どこから声が・・・・・・な、なにぃー!?」
血に飢えたジャイアントパンダ達は、男の攻撃が始まるころには、すでに舞空術で飛んでたからね。
・・・・・・え?なんでジャイアントパンダが飛べるのかって?そりゃもちろんここが中国だからだよ。
中国には舞空術使えるやつがゴロゴロいるからね、そりゃ成り行きでジャイアントパンダだって舞空術が使えるようになるよ。
「くそぉ、こうなったら、地中から仕掛けるど!」
あ、男が一気に地中の方へ潜っていったね。でも無駄だよ。だって、
「ギャァァァァ!!!!!!」
空を飛ばずに、削岩機に乗って地中に潜るジャイアントパンダも何体かいたからね。多分男が地中に移動することを読んでだんだろうね。すごいね。
さて、男は血に飢えたジャイアントパンダ達の操作する削岩機に貫かれて死んだけど、なにやら血に飢えたジャイアントパンダ達が男の死体を集めて、何かの儀式をやってるよ。
「△×◻︎◻︎€€££€€£・・・・・・」
血に飢えたパンダ達が男の死体の塊に向かって何か呪文を言うと、男の死体の塊に天から光が注げられた。
死体の塊の姿が徐々に変化し、長細い物体になっていく。
「オデは生まれ変わったにょろど・・・・・・これからはこの大自然の一部として、生きていくにょろど・・・・・・!」
おお、男はどうやら儀式によって、蛇に生まれ変わったみたいだね。蛇は生命の力の象徴であり、今年の日本の干支だよ。めでたいね。
蛇に生まれ変わった男は、竹林の中へと去っていった。彼もこれからはこの竹林の住人として、食物連鎖社会の中を生きていくだろう。血に飢えたジャイアントパンダ達も、自分達の住処に帰っていったようだ。
・・・・・・え?ところで、なんで僕は血に飢えたジャイアントパンダ達に襲われなかったのかって?
そりゃもちろん、僕もジャイアントパンダだからさ。血に飢えたジャイアントパンダ達だって、流石に同族を襲おうとはしないよ。
「おーい、何そこで突っ立ってるんだ!早く来ないと置いてくぞー!」
「ごめんごめん、今そっち行くよ!」
いけないいけない、僕の群れの仲間が呼んでるから、僕はもう行くよ。それじゃあね、バイバイ!
ちなみに、僕が血に飢えたジャイアントパンダかそうじゃないかは、ご想像にお任せするよ。