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3. 定食屋

「梨香子、ご飯行かない?」

新庄梨香子は菅谷朱美から、夕飯の誘いを受けた。梨香子らはいつも午後七時半頃になると、馴染みの定食屋に行き夕飯をとっていた。何故、梨香子らは自分で夕食を作らないかというと、自宅で食べていたら実験室に戻るのが億劫になってしまうからであった。梨香子らはだいたい毎日、日が変わる頃まで実験をしているからである。菅谷は昨日無事卒論を提出し終えたので、実験はもうしなくてもよいのだが、四月からの就職先は吉井教授の秘書であり、卒業式までは実験をすることにしていた。ちなみに池谷康二は高校の教員になるので、実験は卒論の提出をもって免除された。


 今日は山野要の指導もあり、少し遅い時間になったが、梨香子は菅谷とともに馴染みの定食屋にきた。

「それで、山野君?だっけ。彼どうだった?」

菅谷は唐突もなく梨香子に尋ねたが、

「どうも何も一日じゃあ分からないよ」

「でも彼、高校の部活の後輩なんでしょ」

「何で知ってるの?」

「いや、指導中に話していたじゃない、部活のこと」

「聞いてたの!」

「だって親密そうに話していたし」

ふと今日の事を振り返る梨香子だったが、そうだったかなぁと疑問に思っていた。高校時代同じバドミントン部とはいえ女子と男子で交流練習はしても、基本男女別だからそれほど接点が多かったわけでもなく、ただ真面目そうだなぁと感心をしていただけであった。

「梨香子、高校時代もモテたんでしょ」

と突っ込まれたが、

「いや、確かに女子にはモテた」

とだけ返した。

「しかし、来年度もさみしい研究室になりそうだね、同じ有機研でも不斉反応研は人気あるのに」

そう呟く菅谷に対して梨香子は、

「不斉反応は鏡像異性体を作り分けたり、分割したりで光学純度を高くするのが面白くてやりがいもあるだろうけど、私は天然物合成の方が好きだから気にならないし、それに人数が少ないだけ実験器具使いたい放題でやりやすわ」

そう返す梨香子であった。


二人は食事を終えると研究室に戻った。

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