愛する人におくる言葉
おにくと申します( ・∇・)
今はリアルのコンクールで出す作品を執筆中なので、急遽連載おやすみしてます(。>_<。)
代わりに(?)過去のメモから引っ張ってきた初々しい私の黒歴史を晒します( ᐛ )( ᐛ )
まだマシな方だけど恥ずかしい(/ω\*)
「なぁ……これで終わりなのか?
これで……お別れなのか?」
瞼を閉じた少女に問う。
「話せるわけない……か。
余命3ヶ月と知らされて2年。
よく頑張ったよ、お前は。」
今もなお、拙い呼吸を続ける少女を
呼び続ける者がいた。
「紅那……」
出会いは偶然だった。
「なぁ名前、なんて読むんだ?」
偶然入った病室に、
「これは紅に那覇の那で
『いろな』よ。」
偶然いた大人しい女の子。
「いろなかぁ……いい名前だな!」
名前を知り、
「俺は『すがる』!清浄の清に
瑠璃の瑠って書くんだ!」
名前を教える。
俺たちはこの会話だけで
友達になれた気がした。
そこから俺はその病室に
通うようになっていった。
アサガオの髪飾りをした紅那が
いつものように座っている。
「今日はどんな本を
読んでくれるんだ?」
「そうね……良い昔話があるわよ。
『桃太郎』っていうんだけど……」
紅那は物語を
いつも読み聞かせてくれた。
紅那の読み聞かせは不思議と
飽きることがなく、
何回も読んでもらうこともあった。
「私、きびだんごを
この本を読んでからずっと
食べたいと思ってるの。」
紅那は唐突にそんな事を言い出した。
「そんなのお母さんに頼めば
買ってきてくれるんじゃね?」
紅那は悩むような仕草をとり、
「うーん……お母さんは、
桃太郎みたいじゃないからな〜。」
「えぇ……桃太郎みたいって
どんなやつだよ。」
「それはもう、強くて、優しくて、
私が忠誠を誓った人かな?」
「ただいまぁ。」
「あらぁ、またあの子のとこに?」
「うん。今日は『桃太郎』。」
俺には聞き慣れた会話。
「お前、紅那ちゃんのこと
好きだねぇ付き合ってんの?」
お父さんは相変わらず
冗談が好きで、
そんなことを言い始める。
酒もまわっているのか、
ぐいぐい聞いてくる。
「付き合ってないってお父さん!
好きでもないし……」
「そうかそうか!頑張れよ!」
俺は恥ずかしくなり、
無言で自分の部屋に戻った。
あまりにも質素な部屋だが、
そこが落ち着く。
花柄の枕に抱きつき、呟く。
「紅……那……」
紅那と出会ってから、
学校が少し嫌いになった。
友達と会えるのは嬉しいが、
紅那と話せない。
「八木、なんかいい事でもあった?」
「へっ?な、なんだよいきなり。」
友達の田山が話しかけてきた。
田山は昔から勘が鋭い。
「いや、なんかにやけてたし。」
慌てて顔に手を当てる。
「別ににやけてなんかないし!」
「その反応は無理があるんじゃ……
まさか清瑠、
好きな人が出来たとか!?」
「べ、別に好きじゃねぇし!」
俺は顔を真っ赤にして怒った。
「そっかぁ、後で紹介しろよ。」
「田山ぁ!許さねぇぞ!」
田山とはよく喧嘩になる。
いつものことだからか、
誰も止めようと……
「スーくん!またやってるの?」
しないわけではない。
1人止めようとする者がいた。
「ゲッ!松原……」
幼なじみの松原である。
松原がいつも止めに入るので、
他は誰も止めようとしない。
「喧嘩はダメだって
何回言ったらわかるの?」
こうなった松原は止められない。
逃げ出そうとする田山を抑え、
「お前も道連れだ。」
「なんで僕まで!?」
そこから授業が始まるまで
説教は続いた。
「ふふ、とても楽しそうね。」
いつものように、今日の出来事を
紅那に話した。
「いや、松原めっちゃ怖いから
楽しいわけではないんだけどな。」
「それは、あなたが大切だから
じゃないかな。」
やっぱりここは落ち着く。
部屋の色、風の心地良さ、
そして紅那の声。
辛かったことも、楽しかったことも、
ここでは全て話せる気がしてくる。
「そう……かな。そうだといいな。」
そんな風に笑ってごまかす。
何気ない日々が続いていた。
だがある日、
俺は紅那を拒絶してしまった。
少し成長して、中学生。
体調が悪そうな紅那がそこにいた。
いつも笑っている紅那が、
苦しみの表情をしている。
「大丈夫か?」
そのうえ、こっちが心配しても、
「うん……全然大丈夫。」
こんな風に笑ってごまかす。
耐えきれなかった。
「……なんでいつも、
笑顔貼り付けてんだよ……」
俺はその病室を出た。
紅那の声がしたが、
振り返ることが出来なかった。
「なんであんな事言ったんだよ……」
俺はあの後、帰宅。
飯も食べずに自分の部屋に入った。
後悔が募る。
「嫌われちゃったかな。
嫌われてるよな……」
その時、スマホから着信音。
見てみると、松原からだった。
『明日の朝、時間空いてる?
スーくんに話したいことがあるの。
あの公園で待ってるから。』
一通のメール。
「今は気持ちの整理をさせてくれ……
ってこれ電話じゃなかった。」
我ながら馬鹿な行動に
笑みがこぼれる。
「松原のおかげでなんか
スッキリしたわ。
サンキュー……って
だから電話じゃねぇんだよ。
……明日伝えるか。」
朝の公園は人気が少なく、
周りに民家も少ない。
この落ち着いた空間は好きだ。
「あ、おはようスーくん。」
松原はよくあるものより
少し低いブランコに座っていた。
「おはよう。昨日はありがとな。」
「え?何の話?」
「あ、いや……こっちの話。
で、話って何だ?」
俺は隣のブランコに座り、
松原の話に戻した。
「あ、うん。えっとね。」
しどろもどろな松原だったが、
覚悟を決めたかのように
松原は立ち上がり、俺の前に来た。
ちょうど太陽と重なる。
「私と……付き合ってください!」
俺は固まった。
言葉を見つけるのには、
少し時間がかかった。
そして、出した答えは、
「ごめん……」
だった。罪悪感。
沈黙を続けさせまいと、
松原は言った。
「……そっかぁ。まぁいっか!
いや〜ふられちゃった。」
逆光で表情が分からない。
でもきっと、泣いているだろう。
そう思った。
精一杯、言葉を選び出す。
ありのままの本音。
「松原は勇気出して
言ってくれたのに、
俺はそれを否定するようなこと
言っちゃって、ホントごめん……」
さらなる罪悪感。
「いやいや、ホントにいいって。
それに私ね、告白してよかった。」
「どうして?」
「だってさ、大好きなスーくんと
こんな風に本音で話せたんだもん。
そりゃあ付き合えたら
毎日出来ることなんだけど。
でも私、気付いたんだ。」
その時の松原は最高の笑顔で、
最高の幸せを表現していた。
俺はあの顔を決して忘れないだろう。
「幸せは感じたもん勝ちってね!
感じないと、逃げちゃうから。」
この言葉を聴いて、思い出した。
紅那の病室に行く時。
紅那の話している時。
紅那のそばにいる時。
俺はいつも幸せを感じていた。
「……そうだな。ホントに。
ありがとう、松原。
俺、大事なこと忘れてたよ。」
幸せを感じるためには、
自分が感じないとダメなんだ。
「どういたしまして。
私はまだまだスーくんのこと
大好きだから、これからも
いつでも頼っていいよ。」
「ありがとう。
じゃあ行ってくるよ。」
「うん……いってらっしゃい!」
俺は松原に別れを告げ、
病院へ向かった。
「これで……」
「ん?何か言ったか?」
「ううん、何でもない。」
「マズイ……迷った……」
公園から病院へ行った事がないため、
道がまったく分からない。
スマホのマップも、
現在地が表示されない。
歩き続けていると、
コンビニを見つけた。
「ここら辺に
コンビニあって良かったぁ。
とりあえず道聞こう。」
自動ドアが開き、店員の
「いらっしゃいませー!」
という元気な声が響く。
「すみません。
道をお聞きしても
よろしいですか?」
「はい!大丈夫です!」
とても張った声。
高校生ぐらいの女性は、
アルバイト始めたてのような
固さが見えた。
「キツいようでしたら、
普通に接して頂いて構いませんよ。
というか、そっちの方が
話しやすいと思います。」
「あっそう?じゃあ……こほん。
どこへ行きたいの?」
断然こっちの方が話しやすいと思う。
「この近くの病院に
行きたいんですが、
迷ってしまって。」
「あぁあそこ。ここ出て左行って、
そこから……」
その女性から道を教えてもらった。
どうやら地理に詳しいようだった。
「ありがとうございます。」
「いいっていいって。
病院への道で迷うなら、
通院じゃなくてお見舞いかな?」
なかなか勘も鋭かった。
「そうです。」
「男子?それとも女子?」
女性はぐいぐい聞いてくる。
「女の子ですが、どうして?」
当然の疑問だった。
「いやぁ私恋バナとか好きでさ。
つい聞いちゃうんだよね。」
失礼過ぎると思ったが、
口には出さなかった。
「そういうことなら……この、
自称名物きびだんごを
お土産として持って行っては
いかがかな?」
「うわぁ!」
後ろから野太い声が聞こえたせいで、
驚いてしまった。
「店長!脅かさないでくださいよ!」
「はは、すまないね。
どうも目立ちたくなる性分でね。」
どうやら店長らしい。
このコンビニは個性が強かった。
「で、どうだい少年。
このきびだんごは。」
『私、きびだんごを
この本を読んでからずっと
食べたいと思ってるの。』
紅那の言っていたことを思い出す。
「ええ是非。いくらですか?」
「税込432円のところ、
君には特別に100円で売ろう。」
「え!?いやいやいや!
良いですって!」
おかしい。明らかにおかしい。
「そんなに警戒しないでくれ少年。
君はうちのたった1人の従業員の
人見知りをここまで
克服させてくれたんだ。
君は相応の働きをしたのだよ。」
「あはは……恥ずかしながら、
こんな話せたのは店長を除くと、
君が初めてなんだよね。」
「はぁ……でしたら遠慮なく。」
従業員がたった1人。
その従業員も極度の人見知り。
本当に個性が強かった。
コンビニで教えてもらった道は
細かく、正確で、
迷うことなく病院に着いた。
俺はすばやく受付を済ませ、
紅那の病室へ向かった。
病室の扉を開くとそこには、
アサガオの髪飾りをした紅那が
いつものように座っていた。
紅那は俺に気付き、
「清瑠くん、ごめんなさい。」
と言った。先に謝られてしまった。
「こっちこそ、ごめん。
急に怒っちゃって。
心配かけたくなかったんだろ。」
「よく分かったね。」
「分かるよ、それぐらい。」
紅那は心からの笑顔で、
「うん、ありがとう。」
「……お詫びとしてこれやるよ。」
コンビニで買ったきびだんごを
紅那に渡した。
「わぁ!きびだんご!」
「お前、食べたいって
昔言ってたから。」
少し照れくさくて俯く。
「覚えててくれたんだ。
……ありがとう。」
「いいから食えよ。」
紅那はきびだんごを頬張った。
「……うん、おいしい。」
この時の紅那の表情は
幸せに満ちていた。
「って、応えるわけないな。」
俺が立ち上がり、帰ろうとした瞬間。
「……って……」
確かに声が聞こえた。
今度は聞き逃すことはしない。絶対に。
紅那に駆け寄る。
「紅那。起きたのか?」
紅那は必死に言葉を紡ぐ。
「最期に……一つだけ……
君に……言いたい……ことが……」
俺は悟る。
これが本当に最期なんだと。
紅那が最後の力を振り絞って
俺に何かを伝えようとしている。
俺は、覚悟を決めた。
「言いたいことってなんだ?」
「清瑠くん……大好きだよ……
最期に……君と一緒で……
よかっ……た……」
「……ああ、俺も大好きだ。紅那。」
病室は静まり返っていた。
聞こえる音は俺の心音、呼吸音、
そして、心拍数モニターから流れる
甲高い機械音だけだった。
どうでしたか?
当時は結構よく書けたと思った作品はよく読むと違和感ありまくりですね
ちなみにメモからそのままコピペしましたが、きびだんごの値段だけは謎に税込み440円とか書いてあったのでそこだけは手直ししました( *´-ω・)シーッ!
では次の機会に!(*´︶`*)ノ