ドワーフと歓迎会
魔力操作の特訓始めた頃から少しした頃、ドワーフ族なる者たちがやってきた。
五人のドワーフ達は、それぞれ、剣、盾、鎧、指輪やネックレスなどの装飾品、絵画の製作に優れており、ダンジョンに定住することを許してもらえるなら、技術を提供するといってきた。
俺からすれば、願ったり叶ったりなので、二つ返事で承諾した。
剣を作る事が得意なドワーフはガドラ、盾を作る事が得意なドワーフはガルド、鎧、装飾品、絵画の製作に優れているものは、それぞれジルド、ミルド、ドルドという名前だ。
剣や盾などはスライムに頼めば出てくるのだが、ハイエルフのルミアが、スライムの生み出す物は全て世に出してはダメな物なので、封印してほしいといってきた。
なんでも、威力やらなんやらが普通の物とはおかしく、コレが出回れば、世界は混乱するらしい。
まぁ、確かに俺もそう思う。
おかしいなぁとは思っていたのだ。
スラさんに剣をもらった時格好つけて、五階層の訓練場で、「炎熱斬り」と叫びながら剣を振ると、剣の先から炎の刃が出て、山を切り裂いた。
山の上半分は綺麗に消し飛んでおり、下半分は溶けた岩などが溶岩となり流れ落ちていく様が見れた。
こんな物は訓練などでは使えない。というか、使ってほしくない。
怪我人どころか死人が出る。
世界も混乱どころじゃ無いだろう。
そんな訳で、ドワーフに住んでもらうことには賛成なのだ。
◇◇◇◇◇
ドワーフには、ダンジョンの三階層に住んでもらう事になった。
今のところ、最下層は俺の部屋や食堂がある十階層で、九階層、八階層はスライムたちが、七階層にはハイエルフのみんなに住んでもらっている。
六階層、四階層に関しては、上が訓練場で崩落の危険性を考え、開けている。
二階、三階はダンジョン拡張の時の鉱物や、金貨銀貨などを置いておく宝物庫にしている。
スライム達に収納を任せていてもいいのだが、やはり、ダンジョンに宝物庫は必須だろう。
コレはもう、ロマンだ。
一階層は休憩所だ。家具などの素材は周りの森からも調達しており、一日の大半を外で過ごす者もいるので、少しでも休憩を取れるようにと一階に作っておいた。
ここでは、お茶を飲んだり、会話したりと仕事の疲れを癒せるようにするための工夫が色々とある。お風呂にももちろん入れる。
また、狩った獲物を解体する場所もある。
「どうだ?ガドラ使い心地は」
「おう、とてもいいな。コレならいい剣が打てるだろう」
今、ガドラにはハイエルフに作ってもらった炉の出来栄えを見てもらっていた。
長年、製鉄や、剣の鍛造をしてきたドワーフからのお墨付きである。
ハイエルフ達も小さくガッツポーズをしていた。
「じゃあ、炉も作り終わったことだし、ドワーフ達の歓迎会だ!!」
歓声を上げながらハイエルフや、ガルドやジルド達ドワーフが、飲んで、歌って騒ぎだす。とても賑やかでいい。
「いいのか?」
ガドラが申し訳なさそうに聞いてくる。
「あぁ、遠慮するな。これからダンジョンで一緒に過ごす仲間になるんだ。それに、こういうの好きだろ?」
ガドラはハイエルフ達と肩を組んで酒を飲む仲間を見る。嬉しそうに笑っている。
初めは、突然来た自分達は歓迎されないだろうと思っていた。それどころか、追い返されるか、ダンジョンに住むことができても奴隷の様に扱われると、そう思っていた。
それは当たり前の事である。突然来た素性の分からない者を受け入れる事など到底できることではない。
逆の立場であったなら自分達も受け入れはしないだろう。
なぜなら森の奥にやって来るなど、山賊か、犯罪に手を染めた者ぐらいだからだ。
だが、このダンジョンに住む住人達は、受け入れただけでなく食事や寝る場所だけでなく、仕事まで与えてくれた。
そして、仲間だといってくれた。
「当たり前だろ?」
ニヤけながらガドラは言う。
ガドラは思う。ここに住む人達のためならばなんでもすると。
そして、このダンジョンの住人の一人になれた事を誇らしく思った。
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