少女との出会い
朝。俺はスライムのスラさんに、体を揺らされ、起きる。
「どうした?」
スラさんが、指差す方を見てみれば、宝の山が出来ていた。
どういうことだ?そう、スラさんに問いかけると、体を使って一生懸命に説明してくれる。うん。可愛いな。
スラさんによれば、土を吸い込みながらダンジョンを広げているときに、土と一緒に吸い込んでしまったらしい。
一度、俺に確認してもらうために、宝箱や、金貨、銀貨などを吐き出し、まとめていたのだそうだ。
ダンジョンの中の宝箱。うーん、ロマンだ。
「中、確認してみるか」
ちなみに、スラさん達が、吸い込んだ物は、劣化したりせずに無限に収納しておくことができ、また、取り出すことも可能だ。
積み上げられている宝箱の、一番上の宝箱を開ける。
そこには、指輪が納められていた。
高級そうな布と台座に、収められている指輪は、黒をベースとし、金色で細工されている。
かなり、精巧な細工で、羽の模様をしている。とても、神々しい。
「つけてみるか」
不思議と、人差し指にピッタリと嵌った。
ん?魔力が吸われる感覚がする。まぁ、俺の魔力を吸ったところで、なんの意味もないだろう。それに、魔力量1だし。
気にせず、他の宝箱を開けよう。いやー、こういうのって、いくつになってもワクワクするな。
そういえば、今日は、俺の22歳の誕生日だったな。神様からの誕生日プレゼントだったりして。ないか。
二つ目は、本?のようだった。鎖が巻かれている。これは、本でいいんだよな。鎖って巻かれる物なの?いや、ないだろ。
危険そうなので、埋めておこう。
この後、他にも宝箱はあったが、金貨や銀貨、ボロボロの服や、訳の分からない道具らしきものだったりと、一つ目や二つ目の宝物と違い、目立ったものはなかった。
「宝箱も全部開けたし、ダンジョン作るか」
そう言いながら、俺はスライム達が広げてくれた階層を、魔力でマーキングしていく。
十階層出来たところで、手を止める。今のところは、これくらいでいいだろう。
スライム達もありがとうな。
くいっくいっ、とスラさんに服を引っ張られた。
「どうした?」
指輪を指差す。
「ほしいのか?」
スラさんがうなづく。
「そうか、ほら。」
スラさんに指輪を渡そうと、近付けた、そのとき。
「うわっ!」
スラさんが急にヒカリ出した。結構強く発光する。
そして、光が収まると、そこには、金色のスライムがいた。
「スラさんなのか?」
スライムはうなづく。どうやら、スラさんらしい。
でも、どうしてだ?
スラさんが、鎖のついた本を取り出す。体?と呼んでいいかは、分からないが、スラさんから、鎖のついた本が出てくるのは、なかなか、面白い。
「これがどうかしたのか?」
スラさんがジェスチャーで、俺に鎖を解けと伝える。
「鎖を解けばいいんだな。わかった」
鎖を解く。
すると、これも発光しながら、俺の体内に消えていった。
え?
「ちょ、え?これ、だいじょうぶなやつ?体の中に入っちゃったよ?」
体に異変は無いし、スラさんが大丈夫だというので、このままにしておく。
本当に、大丈夫なんだな。し、信じてるからな。
次に、スラさんが、目に魔力を溜めろ、といってくる。
指示通り、魔力を溜める。すると、
「何だこれは」
名前 スラさん
種族 スライム
称号 スライムキング
魔力 800万
これは、スラさんの、能力値なのだろうか。何故、見えるようになったんだ?
そうか、本。あれを取り込んだからだ。だから見えるようになったのか。
じゃあ、あれは、ゲームでいうところの、魔導書てきな物か。
今、俺は鑑定の能力が、使えているのか?
スラさんが、そうだ、とうなづく。
というか、スラさん。魔力量ハンパなくね?俺の800万倍だよ?
称号も、スライムキングだし、凄いな。
俺って、スライムにも負けるんだな。
スラさんが慰めてくれる。ありがとう。でも、余計に悲しくなる。
スラさんは進化したらしい。魔導書出てこい、と念じたら、鎖が無い状態で出てきたので、中を確認したら、そう記されてあった。
スライムって、進化するんだ。いや、定番といえば定番なのかな?
数十分ほど魔導書で遊んでいると、
ドゴォォォン
という音ともに、天井が崩れてきた。
「な、なんだ!?」
砂煙が晴れると、そこには、160センチほどの、耳の長い銀髪をショートヘアーにした、少女がいた。
かわいいな。これは、今まで出会った中で一番の美人、に認定だな。
そう考えていると、少女が口を開く。
「階段があったけど、降りるのメンドイから、こわした。ゴメン」
……うん。今まで出会った中で一番の危険人物に認定する。