幸せな未来とあなたの事を考える
深呼吸をして、呼吸を安定させるとしっかり前を向き状況を把握しようとしている。
「あ、あれ?私、ごめんなさい。」
目を大きく開いて、勢いよく頭を下げる。
「アナさん、大丈夫です。あなたが謝ることはない。」
「本当ですか?」
「はい。」
「ちっ、こいつ。……女を連れやがって」
「えっ?」
パッと見だと女とは分からないくらいのクオリティがあるのに、チャラ男は1発で女と当てた。
「なんで、私。今……」
「ああ、声と雰囲気だよ。高い声のやつもいるけどお前はなんか花が飛んでるような雰囲気があるから。直感で」
「おい、お前話を逸らすな。」
「俺にも用があんだよ。話しかけんな。」
チャラ男はそのまま、足早に去っていった。
「あの、アイラ様。あの方は?」
「あー、名前は知らない。俺はチャラ男って心で呼んでるからな。それに……」
セレーナを殺そうとした。
そのことを口走りそうになり慌てて止めた。
この子にとってセレーナは大きな存在。こんなことを言ったら次どんなことになるか分からないからな。
「それに?」
「なんでもない。サクラ王女を置いてきてる方が問題だなを、一応王女だし。」
「……ですね。」
急いで店内に戻り、ゆき氏の様子を見る。
たくさんのドレスを隅から隅まで何度も見ていた。うん、大丈夫。
「アナさん、気に入ったスーツとか見つかった?」
「あ、はい。この暗めの紺色のスーツです。」
「いいね。それじゃあ、ネクタイは一緒に決めるか。好きな色の方がいいと思うし。」
「ありがとうございます!」
――――――
「この黄色のネクタイどうですか?」
「いいと思うよ。スーツに合ってる。」
「じゃあ、これで」
「よし、決まりだな。サクラ王女んとこ行くか。」
「はい!」
アイラ様の背中を追いかけてサクラ王女の元へ行く途中。
さっきの出来事が頭に浮かぶ。声と雰囲気って言ったって、話しかけてくる人はみんな私の事を男だとちゃんと思っていた。
それに、お花が飛んでる?
そんなこと言われたことがない。
一人でいる時は、お花とは無縁のように重くて暗い雰囲気に包まれている。
人と会話するのも愚か。
近寄って来る人もいない。
あの人は私の別の面が見えたのかな。
どんな感じなのか聞きたい。
……また会えないかな。
「サクラ王女、どう?」
「うん、めっちゃいっぱいあるよ!これとかこれとか、あとこれなんかも良き!」
両手いっぱいの黄色いドレスはマーメイドのようなものや、プリンセスが着そうなふわっとしたものをメインに持っていた。
「これ全部、私のためですか?」
心の中ではそんなことは無いと思いつつも、とっさに口から出てしまった。
「そうよ。アナさんのためよ!」




