その格好は
「あの、すみません。私、探している方がいるのですが」
黒髪短髪で、少しダボッとしたスーツを着ている。その様は、中学1年の時に身長が伸びるからと大きな服を買わされた子供みたいだ。
「あ、あはい。どんなお方ですか?」
声は、かすれ気味で高い声をわざと低くしているように思える。
「黄色のドレスが似合う、かわいい女の子です。」
「そ、そうなんですか。そんな方々はここら辺には沢山いるのではないか?」
目が合わない。話す時に目線を左右に動かして両手を胸の前でにぎにぎする。
やっぱり、アナさん。
「お話伺いたいのでこれから私達とお茶でもどうかしら?」
「あ、いえ。そんな、私なんかが」
「ほら、自分を下げる言い方をしないの。私も連れが待ってるので、決断をお願いします。」
「あ、えっと、…………ぃきます。」
「よし!じゃあ、行っくぞー!」
「アイラ、連れてきたよ。」
「えっ、あっ、えっと、……」
「……俺はアイラ・リースです。あなたは?」
「……あ、っえ、あ、アナ・メリー、です……」
「てなわけでお茶しに行くぞ」
「おお、急だな。まぁ、行くか。」
「……はい。」
近場の喫茶店に入り、3人とも紅茶を頼んだ。
そして、本題を切り出す。
「どうして変装してるの?」
「……それは」
「それに、学校にはもう来たくないのかな?」
「……」
「あんまり責めるなよ。」
「そうだね、ごめんなさい。」
「い、いえ。」
この状態で何か聞けることはないのか。
男装してる理由も気になるけど、学校に行けなくなったのはやっぱり、ドレス事件のトラウマが抜けないだろう。
「男装似合ってるな。かっこいいぞ。」
「えっ、あの、ありがとう、ございます。」
会話が続かない。
ゆき氏と話してる時は一方的だから話しやすいけど……
ゆき氏ってすごいんだな。
「それで、こんなところで何してたの?買い物?」
「あ、はい。」
「一緒に行こうか?」
「えっ?」
一緒に行くって、ゆき氏目立つんだからついてったらまずいんじゃねぇか。
「それは迷惑だよな?」
「あ、いえ、そんなことは……」
「ほら、サクラ王女がそんなこと言うから困ってるじゃないか。」
「ええー、私?一緒に行こって言っただけじゃん。」
「もう、ちゃんと目的思い出して」
「あ、そっか。アナさん、私たちで良ければ話聞くよ?絶対人に話さないから。信用ないかもしれないけど」
「いえ、そんな。……じゃあ、少し話しますね。」
「ああ、長くても構わない。」
「……そんなには、長くはないですよ。」




