四季
さっきの話をまとめると、ユウキさんはセレーナさんに嫌悪感を抱いておりその手の話題は話さない方がいい。
好きな食べ物はフルーツ。嫌いな食べ物は辛いもの。
好きなタイプはかわいくてお世話させてくれる人。
はぁ、情報を聞いても分からないことが多すぎる。
神様、アドバイスが欲しいです。
心の中で言ってみたが、反応はなく少し悲しくなる。アドバイスしてくれるんじゃなかったのか。仕方なく、眠りにつこうとした時。
「おーい、眠らないで欲しいっす。」
俺の足元の方から男の人の声が聞こえた。慌てて目を開けると栗色の髪に目。髪はショートカットで目は大きくタレ目。身長は170cm近いイケメンが現れた。
「うわっ、……不審者っ!えっと、えっとセトリさん!!セトリさん!助けてください!」
あまりの驚きで、パニックになり俺の執事と思われるセトリさんを呼んだ。
「うぉ、ちょっと静かにしてっす。僕は怪しいものじゃないっすから。」
「あ、怪しいです!突然、部屋に現れてすごく怪しい人を前に静かにできるか!」
俺は情緒がおかしくなり、怖いのにその人を怒鳴ってしまった。
「まぁ、まぁ。話を聞いてくださいっす。」
俺の怒声は効かず、爽やかな笑みで俺に1歩、また1歩と近づいてくる。
「誰か!誰か助けて!誰か!んむっ」
必死に助けを呼ぶが誰も来てくれない。それに、口は男の右手で塞がれた。
「しー」
口に人差し指を当て、俺にウインクしてくる。俺、こいつ、苦手。
「いいこだね、アイラちゃん」
俺は口を押さえていた男の腕をつかみ引き剥がし、男をキッと睨みつけながら言った。
「ちゃん呼びは親友にしか許してない。気安く名前を呼ぶな。」
「えーん、釣れないなー。アイラくんは」
全部の指を直角に曲げ目の下に当てる。明らかな嘘泣きにグツグツと腹の底から湧き上がる怒りを感じる。
が、ここは冷静を保たないとついていけない。ゆっくりと深呼吸をして疑問に思っていることをまとめた。
「まず、名前をなぜ知っている。」
「よく聞いてくたっすね。そーれーはー、神様に作られた案内人の僕、四季だからです!」
胸を張り、胸に右手を当て誇らしげに威張る男に嫌悪感を抱く。やっぱり苦手だ。
「知らないんだけど。」
「だーかーらー、四季っす!四つの季節で四季っす!」
「そこじゃない。神様に作られた案内人ってとこ。」
「あー」
左手の平にポンっと右手をグーで乗っけて納得する。
「じゃあ、説明するっす。神様がこの世界のアドバイスをするのはなかなかに大変なので、ずーっと付きっきりでアドバイスができる存在を作ったんす。それが僕。なので、困ったことがあったらどんどん聞いてくださいっす!」
「なるほど、アドバイス代理って感じか。四季。この後どうなるか分かるか?」
「うん、第一王子にイベント発生っす!」
「はっ!?」
「中庭で起きるっす。今」
「はっ?えっ?いや、待ってわからんわからん。えっ?今すぐってこと?」
「ほら」
四季が指さした窓の外にはセレーナとユウキの姿があった。セレーナは嬉しそうに腕を組み、ユウキは右手で頭を抱えている。
「これがどうしたんだ?婚約者なんだから普通なんじゃないか?」
「いや、これからっす。」
本当かなと首を傾げもう一度見ると、ユウキの周りの植物だけが黒くなっていく。
「あれって、枯れてるの?」
「はい。」
「でも、なんで?」
「それは、彼が闇魔法の持ち主だからっす。」
「闇魔法?」