アイラの過去?1
「アイネは……、アイネは今どこにおるのだ。」
ユラは唇を噛み締め、涙を流した。
堪えていた足も子鹿のように震え、やがてたっていられなくなりその場に座り込む。
「……アイネは、主人は亡くなりました。」
俺の前では堪えていた声を上げ、両手を拳に変え地面を叩き続ける。
「止めるのだ。君が傷ついたらアイネが怒る。」
「私は、庶民。王族であるアイネに何も出来なかった。私も流行りの病におかされています。どうか、私とアイネの最後の希望。アイラをどうか。」
「……わかった。」
土下座で懇願するユラにユンリーは悲しい顔をしていた。
「ママ?」
その時の俺はどういうことか理解してないのだろう。でも、ママから離れるかもしれないとか悲しんでいることは分かる。
ユラに近づき、ギュッと強く抱き締めた。
「……アイラっ、幸せになるのよ。」
俺に優しく笑いかけると、ゆっくり立ち上がり手を振る。
「ママー!ママがいいよ。ママー、なんで置いてくの。ママー!」
「アイラ。私はいつもアイラのことを思ってるよ。ずーっと大好き、愛してる。」
「ママー!僕もママが大好き!大好きだよー!」
「ほら、行くぞ。」
俺はユンリーに手を引かれ、一緒に住むことになった。
「ここがお前の部屋だ。何か必要なものがあったら言うといい。」
「……」
俺は黙ったまま、ベッドとタンスがある部屋の真ん中に座り込んだ。
コンコン
ドアを叩く音のあと、足音がまばらに聞こえる。顔を上げると3人の子どもが入っていた。
「君がアイラ?俺はユウキ。これからよろしくね。」
優しく微笑み、俺に手を差し伸べた。
「ユウキ兄さん、こいつと仲良くするの?俺は嫌だね。」
腕組みをして俺の事を睨みつけてるのは、ナミキという人。
怖い。この人には近づかない。
「ちょっと、ナミキ。そんなこと言わない。ごめんね。ナミキは本当に優しい子だから。」
「わたしはキサラギ。よろしくね。」
お人形を抱いて、モジモジしているかわいい女の子?
昔からこんなに可愛らしいんだ。
キサラギさん。
「……」
俺は何も言わずにまた頭を下げた。
さっきの今じゃ、気持ちの整理がつかないよな。
「こいつ、無視しやがった。」
「まぁまぁ。今日来たばっかりだし、まだ慣れてないから。徐々に仲良くなれるって」
「わたしの人形さん見る?」
その日から何ヶ月もたった。
衣食住や勉学、振る舞いなどを色々学んだ。
けど、そんなある日。
ユラが亡くなった。
絶望と悲しみで寝込んだ。
病がちになり、体が弱くなったのはその後だった。




