帰ってこない
シーンとした空気の中。
恐怖と責任がのしかかる。
セレーナさんをデートに誘ったのは俺だ。
俺が守る。
「2人でニコニコしやがって、俺も……」
言っていることは納得できないが、何かわけがある。それを聞かずに俺だけの意見を言ってもダメだ。
「店主さん、何かありましたか?」
「お前らには関係ない。大人しく心臓を差し出せ」
「それは無理です。でも、何かあるなら聞きますよ。」
「うるせぇ。」
何もせずにまた階段を上っていく。
一体、俺たちに何がしたいんだよ。
「セレーナさん、大丈夫ですか?」
「はい、これからどうしましょう。助けも呼べないですよね。」
「そうですね。俺の不注意で申し訳ありません。ボディガードをつければよかったのに俺が……」
「いいえ、アイラ様のせいじゃありませんよ。2人でお買い物をしたかった私の責任でもあります。」
「セレーナさん……」
――――――
「兄上、あの2人どうなったと思いますか?」
「どうだろうな。でも、雰囲気は良かったな。」
「1日だけのデートかぁ。僕もしたいです。」
「えっ、キサラギ!そんな相手がいるのか?」
「いますよ。」
「そ、そうか。」
明らかに落ち込んでる兄上の肩に手をポンっと優しく乗せる。
「兄上ですよ。」
「えっ、えっ!?」
兄上、口の端が上がってる。
「アイラ達は人気のない本屋に行くみたいですけど、そんな場所いつ知ったんでしょうか?」
「さぁな。でも、楽しんできたら嬉しいよ。」
「そうですね。」
それから丸一日経った。
デートだから、日帰りで帰ってくると思っていたのにまだ来ない。
「兄上!」
ノックもせずに勢いよく開けた。
「キサラギ!?どうした?」
「アイラが帰ってこないんです。」
「はぁ?まだ、帰ってないのか。さすがに……探しに行くか。」
「はい!」
2人で、探しに行く準備をしているとユウキ兄さんが入ってきた。
「ナミキ、キサラギ、どこ行くんだ?それに、アイラが居ないんだ。」
「ユウキ兄さん……」
言っていいのかな。婚約破棄したけど、元は婚約者だし、デートなんて言ったらどうなるんだろう。
「ユウキ兄さん、聞いてください。」
兄上は真剣な顔でユウキ兄さんを見上げる。
「アイラとセレーナ様は昨日、デートに行ったんだ。でも、今日になっても帰ってこないから心配で、これから探しに行く。」
「そ、そうなのか。」
驚いた顔はしていたが直ぐに、冷静に考え出す。
「どこに行ったのか検討はついてるのか?」
「ああ、人気のない本屋らしい。ちゃんとした場所はわからない。」
「俺も探しに行く準備をしよう。準備が出来たら俺の部屋に来てくれるか。」
「はい。」「わかった。」




