どうしよう
「え、どうしたんですか?この本買っちゃダメなやつですか?……」
「堂々と出来てずるいんだよ。」
悲しそうに下を向くと店主の奥から網が飛んできた。
「わっ!」「きゃっ!」
俺とセレーナさんは網に囚われ、空中に浮いている。
「なんなんですか!どうして、こんなことを」
「うるさい!黙っていろ!」
「アイラ様、今は静かにしていた方がいいと思います。」
「そうだな。」
なんでこんなことに……
黙って店主の動きを見る。
レジの後ろ側にどんどん下っている。本を置いた時は後ろにこんな空間はなかったはず。
それも、降りても降りても暗闇に包まれており、地面に着かない。
「セレーナさん、これ逃げないと手遅れになりますよ!どうにかこの網からでないと」
「無理です。こういう人には抵抗してはダメなんです。じっと、目的が達成されるのを待ちましょう。」
妙に落ち着いた態度で、今を見据えているが手が小刻みに震えているのが分かる。
無理をしている。
それに、こういう経験をしたことがあるのか。どちらにせよ、セレーナさんを守る。
トンッ。
階段を降りる音から地面を蹴る音に変わる。
店主が俺たちを暗闇に投げ飛ばす。
しばらくの浮遊感のあと、壁にぶつかった。
体中が激しく痛む。
セレーナからは、ヒッヒッと過呼吸のような声がする。
「セレーナさん!しっかり、ゆっくりでいいので呼吸を落ち着かせましょう。俺の真似してください。すぅー、はぁー、すぅー、はぁー」
「ひゅっ、ひゅっ、ひゅー、ひゅー、ケホケホッ。ひゅー、ひゅー」
「いいですよ。さすがセレーナさん、お上手です。」
「ひゅー、はぁー、ひゅー、はぁー、すぅー、はぁー、すー、はぁー、すみません。ご迷惑をかけてしまって、本当にすみません。」
「いえいえ、そんなことないですよ。ここ、暗くて空気が悪いですし、それに壁に打ち付けられたんですから。セレーナさん!お怪我は!」
「大丈夫です。アイラ様に守られました。アイラ様は怪我などは?」
「大丈夫です。セレーナさんが無事ならおれは別に」
「そんなことは、本当にごめんなさい。」
「謝るのはやめてください。せめて、ありがとうの方がいいですね。」
「そう、ですね。アイラ様、ありがとうございました!」
「おいおい、ここでもイチャイチャ、イチャイチャとなんなんだよ!俺の当て付けか!」
電気がついたと思ったら俺らは牢屋の中。
檻の向こう側には苦しそうに笑う店主が立っていた。
「店主さん、こんなことして何が目的だ!」
「俺になかった未来を目の前で見せられた、俺の気持ちがわかるか。お前らを殺す。」




