親族のパーティー
「パーティーかぁ、キサラギも言ってたけどなんの祝いだろうな。」
スーツに腕を通しながら、ふと思った。
大体のパーティーは事前になんの祝いかが書いているはずなのに……
まぁ、なにか驚くようなことを考えてるんだろうな。
部屋を出ると、ちょうどキサラギがこちらに歩いてきていた。
「兄上!」
「おう、キサラギ。偶然だな。」
「そうですね。」
いつものピンクのスーツ姿のキサラギは、嬉しそうに笑いながら近づいてくる。
その姿を見ると俺も自然と笑顔になる。
「パーティーって食堂でしたよね。いつも家族だけで食べているので、なんか新鮮ですね。」
「そうだな。」
横に並び歩きだす。キサラギとはこうやって並んで歩くこと、身長の差がつらいな。俺は、キサラギより高くなりたっかったのにな……
「おっと」
階段の途中でつまずいた。ぼーっと歩いていたせいもある。
反射で目を閉じる。
「……兄上っ。大丈夫ですか?」
体が宙に浮いてる感覚がする。優しくて甘いにおいに包まれて幸せだな。
「兄上、お怪我はありませんか。」
はっとして、目を開いた。キサラギの顔の距離が20センチしかない。
顔が赤くなる。体温が上がり、心臓がバクバクする。
「だ、大丈夫だ。すまない。」
「いえ、会場まで運びますよ。」
「いや、そこまでしなくていい。それに、は、恥ずかしいから。」
「へっ……あ、ああ、そそ、そうだよね。」
ゆっくりとおろそうとする。
「で、でも会場に着く前の階段までなら……、あ、いやこれはその」
キサラギにおろされそうになって、まだこのままでいたいという気持ちが言葉となって出てきてしまった。
恥ずかしい恥ずかしすぎる。
「……はい!兄上のお好きな限り。」
また、優しく抱えられて歩き出す。
キサラギを近くに感じて、嬉しい。絶対に声には出さないが
「兄上、乗り心地はどうですか?」
「ああ、とても快適だな。歩かないのって楽。」
「僕は乗り物じゃないんですよ。」
「はは、わかってる。乗り心地いいぞ。たまには悪くないかもな。」
「いつでもどうぞ。」
「冗談だ。」
「えー、僕は本気ですからね。」
「はいはい。」
食堂の前の階段までくると、言った通りおろされた。
名残惜しい。でも、また……
「兄上、行きましょう。」
「ああ」
俺たちが会場に入った少し後、アイラがキョロキョロ周りを見渡しながら入ってきた。
「おっ、アイラ。遅いぞ、どこで何してたんだ。」
「場所がわからなくて探してたんですよ。」
そのことに少し驚いた。
「場所なら書いてあっただろ。」
「いや、俺の招待状にはなかったです。」
「はぁ?」
ユウキ兄さんがそんなミスはしない。
「兄上、落ち着いてよ。今日は親戚が集まるパーティーなんだよ。楽しまなくちゃ。」
「……まぁ、キサラギが言うなら。」
顔を見ると先ほどのことを思い出して、顔に熱が集まる。つられたのかキサラギまで真っ赤だ。
「ふふっ」
「おい、アイラ!」
「ごめんなさい、ふふっ」
本当にこいつは……まぁ、可愛げがある方がいいか。




