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買い物4

周りに立つ人々は、口々に謝罪の言葉を述べ足早に去って行く。


「……兄上」


 か細く、届くか分からない言葉は兄上には届いていて、優しい微笑みを見て安心する。


 やはり、兄上は優しく、人の心を動かす力を持っている。僕は確信をした。


「キサラギ、このまま帰るか?」


「いえ、もう少しだけ歩きたいです。」


「喜んで」


 兄上と一緒に過ごす時間はあっという間だった。


「今日は楽しかったです。」


「俺もだよ。キサラギ、……いやなんでもない。ゆっくり休んでな。」


「はい!」


 兄上に買っていただいた服を脱ぎ、優しくベッドの上に乗せる。


「……かわいい」


 体の内側から嬉しくて、嬉しくてどうしようもない心が溢れてくる。


 笑顔になったり、涙ぐんだり。

 1人で百面相して、また笑う。


 しばらくして、ドレスを丁寧にしまうと今度は自分がベッドの上に乗った。


「はぁ、兄上とのお買い物楽しかったな。」


 天井を見上げながらポツリとつぶやく。


 そんな余韻に浸っていた時、ドアからコンコンとノックする音が聞こえた。


「はい!」


 兄上かな?テンションが高いまま返事をすると、入ってきたのはユウキ兄さんだった。


「あっ、ユウキ兄さん。どうかされましたか?」


 すっかり、兄上だと思い込んでニコニコの笑顔で出るが、ユウキ兄さんは暗い顔のまま僕に招待状を渡す。


「キサラギ、今週末に親族のみでパーティーを主催するから来てもらえないか?」


「はい、分かりました。」


「じゃあ。」


「はい。」


 ドアがゆっくり閉まる。

 親族のみのパーティーって何をするんだろう。暗い顔してたけど何かあったのかな?


 ユウキ兄さん主催だもんね。

 ほんと、なんだろう。


 気になってしかたがなかったので、兄上の部屋に突入した。


「兄上、失礼してます。」


「いや、入ってから言うのか。まぁ、キサラギだからいいか。で、どうしたんだ?」


「ユウキ兄さんから招待状をいただいたんですが、親族のパーティーのみでなんのパーティーか書かれていなくて」


「なんかの祝いなのか……。ユウキ兄さん主催ならなにかいいことを聞けるかもしれないな。」


「そうですね。」


「キサラギ、あのさ」


「はい……」


「今日俺の部屋で寝ないか?」


 顔が赤くなっているのは幻覚というくらい真っ直ぐ私に言う。


「はい、兄上が嫌でなければ」


「嫌なわけがあるか。なんか今日は久々に一緒に寝たくてな。ただ、寝たいだけだからな。なにもない。」


「は、はい。」


 耐えきれなくなったのか。私に背を見せる。


「じゃあ、また来ますね。」


「あ、……あと、かわいい服で……」


 ボソボソと聞こえるか聞こえないかくらいで話す兄上に愛おしさを覚えた。


「はい!とびきりの!」

 


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