復讐2
「俺が好きかどうかわからないけど」
「セレーナ様といる時のユウキ様の顔は、言いづらいっすけど、無理やり笑ってるように見えるっす。」
「そうなのか。」
「っす、いっそのこと……殺すのはどうっすか?」
近づいて耳打ちをする。ユウキは顔から血の気が引き、青くなる。
「どうっすか?」
もう一押ししてみると、ユウキの表情が変わる。さっきまでの顔色は戻らないままだが口元がクッと上がった。
「いいじゃないか。面白い、乗った」
「話が分かるっすね。俺がやるんで言う場所に連れてきてくださいっす。」
「おう。」
思ったより素直に受け入れたし、言葉遣いも普段と違うような気がする。
でも、これでユウキに命令されたからやったってことに出来る。
ユウキからの婚約破棄パーティーよ日付を教えてもらった。
決行は当日。
場所は近くの森、都合よく入ってくるのか。
そんな上手く誘導できるとは思えないが、まぁ裏切ったらその時は……
そろそろ、言われた時刻に近づいてきた。ナイフを右手に握りしめ、呼吸をおちつける。
いざ、人を殺すとなると心臓の鼓動が早く自分にも聞こえるくらいでかい音が鳴る。
「……ふぅ」
ガサガサッ。
草を踏みしめる音と、地面を蹴る音が聞こえる。きっとセレーナに違いない。木々に隠れながら様子を見る。
ドレスを着て走るセレーナの後ろにアイラがいた。
義理の弟、なんであいつが……
もう、このまま殺っちゃうか。
待ち伏せしてセレーナの前に出たが……そこには誰もいなかった。
辺りを見渡すと、俺がいた方向とは逆の方向に走って行った。
なぜだ、偶然?にしてはここだけさせてたよな。
なんか、おかしい。
とりあえず、セレーナの後を追いかける。
途中でまた見失った。ここは森で視界も良くない。またなんか妙なことをしたんじゃないだろうな。
パキッ
目の前の木の後ろから木の枝を踏んだ音が聞こえた。
ふふっ、口元がニヤける。
こんな単純なことをしやがって……
殺してやる。お前ら2人とも……
「セレーナ、こんなところに隠れてるなんてな。さっさっとしまつさせろ。」
ナイフを上にあげ、木の後ろにいるセレーナを殺そうと近づくが出てきたのはアイラだった。
でも、腕が止められない。セレーナを殺そうとしていたから。
アイラの腕を掠めた。
俺は殺そうとしたのに急所を咄嗟にさけた。
俺は、なんで……。
ユウキの大事な人を奪うんじゃなかったのか。復讐は?
俺の気持ちはこんな程度なのか?
お兄ちゃんを殺したあいつらへの復讐。これじゃ、終われないよな。




