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弟の記憶2

食べ物は食べずに残しておいた。

 お兄ちゃんが帰ってきたら一緒に食べようとおもっていたから。


 でも、それはが果たされることはなかった。






 コンコン。


 2回のノック音。

 この前は何もなかったのに明らかにお兄ちゃんではない。


 俺は怖くて扉を開けることが出来ない。


「ユイについてお伝えしたくてここに来た。」


 嫌な予感が俺の心に走る。聞きたくない、でも違うかもしれないその葛藤に飲まれ、どんどん沈んでいく。聞いたら、どうなる……。

 でも、聞かないことには分からない。

 3回深く深呼吸をして扉を開く。手には前と同じような食べ物とお花。表情は暗い。


「兄ちゃんは、兄ちゃんは大丈夫なんですか!」


「……」


 しばし無言の後。ようやく口を開く。


「ユイは亡くなりました。」


 1番聞きたくなかった言葉だった。

 息が詰まる、話すことも泣くことも出来ない。ただ時がすぎるだけ。

 信じられない、俺はユイ兄ちゃんの顔を見てないから。


「ほ、んとうですか」


 何とか振り絞った言葉はか細く消えそうだ。


「本当です。これは食べ物と花、お金です。この度は本当に申し訳ありませんでした。」


 俺は怒りでリース家の当主に掴みかかった。

 すぐ、護衛の人によって離されたけどじたばた暴れリース家の当主に蹴りやパンチを入れようとした。


「本当にすまなかった」


 もう一度謝罪をすると帰って行く。

 残されたのは食べ物と花とお金だけ。


「兄ちゃん、兄ちゃん、うぅ、お前らは兄ちゃんを殺したんだ!人殺し!」


 涙がとめどなく流れる。堪えようにも止まらず喉が痛む。声が枯れるほど罵倒を浴びせるが、振り向くことはしない。


 俺はお金を半分奪った。残りは親に渡した。

 この時から自分の心にある感情。


 復讐。


 絶対に殺す。お前が俺にしたようにお前の大事な人を絶対に殺す。


 両親の病は治り、俺は家を出た。

 その時の半分のお金と自分が働いたお金。


 生活拠点は宿屋。

 買い物などでやってくるユウキを観察、周りにいる人、人数、買うもの、趣味、魔法。

 あらゆるものを調べ、気づいたことがある。

 あいつはもとより、人とは違うオーラを持っていた。だが、俺には他の人が見ていなかった路地裏で見た。


 ユウキの体を覆う黒いオーラを、苦しみもがき独り言をつぶやく様を……


 兄ちゃんから聞いたことがある。この世にただ1人だけ闇魔法という他の魔法とは違う巨大な力を持つ魔法を持っているということ。


 兄ちゃんは恐れていた。そんな人には会いたくないと。

 詳しく説明はしてくれなかった。でも、これだけは教えてくれた。


 その人は黒いオーラを持ち、苦しげな表情で独り言を繰り返す……


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