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転生

 壁にすごい力で吸い込まれていく。


「うわっ、神様!」


 これは聞いてない。怖くて神様を呼ぶが、ニコニコと俺を見守るだけだった。




 そのうち、意識を失った。












 目が覚めると、真っ暗で本当に目を開けているのかわからない。


「ここは……?」


 とりあえず、周りを触ってみるとすべすべとした手触りの布が敷かれていた。手で少し押してみると軽く反発してくる。これはベッドか?


 こんないいベッドで寝たことねぇぞ。どんだけ金持ちなんだ?それに、誰に転生したんだ?


 疑問が募っていく。


 ベッドの終わりと思われる縁を確認し、足をゆっくりと下ろした。


「冷たっ、んっ?」


 床の冷たさに思わず声が出たが、少し低い?声の違和感。俺、男に転生したのか。変だと思ったんだよな、股に何かついてるから。


 明かりをつけようと両手を伸ばし探ると、ドアのようなものに手が当たった。


「痛っ、これ、ドアノブ?」


 左手でつかみ下におろしてみると、ガチャッと扉が開いた。


 ここは、元いた世界って感じだな。


 顔を少し出して、辺りをキョロキョロと見渡すと急に息が苦しくなった。


「ガハッ、ゲホッゲホッ、はぁはぁ、ゲホッゲホッ。く、るし。」


 俺の声が届いたのか使用人らしき女性がかけつける。


「大丈夫ですか!すぐにお部屋に、セトリ!」


「はっ!」


 黒いタキシードを着たセトリという男が、俺をお姫様抱っこでベッドまで運んだ。

 しっかりと毛布を掛けてくれた。


「ありがとうございます。」


「アイラ様。ご無理をなさらずにお休みください。」


「ゲホッ、ゲホッ、ア、イラ?」


「アイラ様。頭でも打たれましたか。すぐに医者をお呼び致します。」


 セトリは足早にドアに向かい部屋の電気をつけた後、俺に一礼をしてゆっくりとドアを閉めた。


 電気がついた部屋はとてもシンプルだった。家具は置かれているけど、使ってる様子がない。自分の服も例えるなら病院で着るような羽織って腰元で縛ってるだけのもの。


 すぐに、体を見られるようになっているのか。


 体が温まってきたからか、咳が止まってきた。自分の体をよく見ると腕は心配になるほど白く、手は俺の2回りくらい小さい。


 小学生くらいの子供の体みたいだ。


 目の前に突如大きな鏡が現れた。多分、神様が送ったのだろう。自分の体を確かめるようにと。


アイラ・リース。


 リース家の第四王子。


 性格はネガティブで、気配り上手。怖がりで臆病。

 自分をうまく出せない。


 だったか?


 キレイな茶髪が腰まで伸びている。その先をちょこんと縛られている。


 一見、女の子に見間違うほどのかわいさだ。


 それに瞳の色。エメラルドのようにキレイな緑色でキラキラと輝いている。左目の下にあるホクロは幼いながらも色気を感じる。



 コンコンとドアをノックする音が聞こえ、「はーい」と返事をする。


「失礼します。」


 セトリが白衣を着た医者と共に部屋に入ってきた。


「ハイン、アイラ様の診察をお願いします。」


「はい、セトリ様。では、少し失礼します。」


 腰元で結ばれていた紐をとき、胸を出すように開いた。


「うわっ、やめろ!」


 バシンッ


 俺は思いっきり、ハインという人物を平手打ちしてしまった。セトリとハインは驚きのあまり時が止まったように動かない。


 俺も叩いた後に気づく、今は男なのだから問題がないのでは。でも、元は女だから、どうしたらいいんだ。


 この静寂を破ったのはセトリだった。


「アイラ様。どうしたのですか?ハイン、大丈夫ですか?」


「はい、私は大丈夫です。アイラ様、何か問題がありましたか?」


 ハインは左頬を擦りながら俺に問いかける。


 なんて言っていいのか分からない。


「……えっと、ごめんなさい。俺、少し気が動転していて、ちょっと1人にして貰えませんか?」


「アイラ様、一人称を変えたのですね。以前よりもっとカッコよくて私は嬉しいです。」


「あ、ありがとうございます……」


「それでは、私共は失礼します。」


 2人とも部屋を出て、ドアが閉まるのを確認して一息ついた。


 アイラは僕っ子だったか。でも、今更直せないし、このままにするか。


 俺はアイラの生い立ちを知らない。もちろんみんなのもだから、他のキャラと接触して探らなければいけないだろう。

 俺の推しのセレーナは悪役令嬢。ゆき氏は大体の悪役令嬢は国外追放か処刑されると言っていた。




 ここに来た目的は、前世では出来なかった恋愛をすること。






 悪役令嬢のセレーナを俺の手でハッピーエンドにしてやる!


 

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