俺のせい、なのか
「チッ」
俺はチャラ男に手を離され、膝から崩れ落ちる。やっとの思いで吸えた空気だったが、それを闇魔法が許さなかった。
俺を苦しくさせる思い出や、悲しい思い出を脳内に流し始める。
さっきのチャラ男のお兄ちゃんが自殺する瞬間の表情が薄れることなく、はっきりと。
「やめて、やめてくれ。俺は、俺は、うぐっ、ゲホッゲホ」
吐き気が催し、すぐに右手で口を押さえる。左手でお腹を押え、必死に耐える。
ここで吐いてしまえばここにいた方々の記憶にリース家の長男が街で吐いたと噂される。
でも、もう……
《そのまま、吐け。》
「うぐっ、」
「ユウキ様!?」
前から俺目がけて走ってくるオレンジ髪のキレイな子。婚約破棄をした後、あんなに辛そうだったのに俺のせいなのに、俺の元に走ってきてくれている。
肩を震わせ、どうにか堪えているがどれくらいこのままでいられるか分からない。
俺を優しく抱きしめた。
「少し落ち着いたら人気がない場所に行きましょう。」
俺は話すことが出来なかったが気持ちが少し和らぐような気がした。
呼吸がしっかりできるようになるとセレーナはゆっくり手を引いて歩き出す。
だご、耐えきれずに座り込み、吐き出してしまったところを見せないようにセレーナは自分のドレスのスカートを持ち上げ受け止めてくれた。
「すまないセレーナ、俺は、なんてことを」
「いいんですよ。私はあなたのことがまだ好きなので」
その笑顔は婚約を受けてくれた時と同じだった。なのに俺は、暗い感情が俺を飲み込んでいく。
お兄ちゃんを殺した。セレーナに婚約破棄をした。その挙句、セレーナのお気に入りのドレスを汚して……
俺は……
――――――
セレーナが突然走り出した。
バレッタを選び、微笑ましい2人を眺めていた俺の後ろの方をセレーナが心配そうに見つめている。
「どうしたんでふか?」
そうセレーナさんに聞き、振り返ろうとした時、すごい速さで何かが通り過ぎた。
一瞬の突風のあと、目の前にいたはずのセレーナさんが消えていた。
「セレーナさん!」
「みーちゃん、後ろ、後ろ見て!」
「えっ?」
ゆき氏に言われるがまま振り返る。そのには、ユウキさんとセレーナさんが抱き合っていた。
「えっ、なんで!?」
「しっ、みーちゃん。ハッピーエンドにするんでしょ。」
2人に無意識に近づこうとしていたのかゆき氏に服を掴まれようやく気づいた。
「俺、どうしたらいい。」
「とりあえず、このバレッタを買おう!今度デートする時につけてくれるかもよ」
「そうだな。」




