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バレッタ

「そうなことがあったのか……。」


「……うん。」


「でも、セレーナは絶対にその人とは違う。出会って話した時に俺はわかったんだ。」


「私も、話してわかったの。ゲームのセレーナは設定としてだけで、中では違うって。当たり前だよね。セレーナさんだって1人の人間だもん。」


「ゆき氏もそう思ってくれてありがとう。俺はセレーナさんのことを幸せにしたいんだ!」


「うん、今は心から応援できるよ!婚約出来たらお祝いしよう!」


 両手を上にあげ、ニコニコの笑顔でそう言うゆき氏に、俺は少し暗いオーラを放つ。


「どしたん?」


「いや、断られた。けど、一日だけデートの約束をして貰えただけでも俺は嬉しいから。」


 ゆき氏は両手を俺の頬に触れる。冷たくて、でも暖かいその手はゆっくりと肩の方に流れていく。


「ゆき氏?」


「みーちゃん、セレーナさんが1番幸せになるハッピーエンドを2人で探そう。」


 肩に乗っているゆき氏の手に力が入っているのがわかる。ありがとう、ゆき氏。


「ゆき氏……うん。絶対!」


「まずは、セレーナさんを」


「そうだな。どこまで行ったのか検討がつかねぇからな。」


「みーちゃんもいつも通りだね。」


「ゆき氏はなんかサクラ王女に転生したからか口調がキレイ?」


「前もキレイだわ!」


 頬をプクッと膨らませる。ゆき氏は変わらずかわいいな。


「あっ、お話はもう終わりましたか?」


「はい、すみません。」


「いえいえ。あっ!あっちにかわいいバレッタがありましたよ。」


「えっ、バレッタってなんですか?」


「髪を留めるピンのようなものです。」


「へぇー、行きたいです!どこですか?」


「案内します。私についてきてください。」


「はーい!」


 片手を上げてニコニコで返事をするゆき氏はこの世界では王女。めちゃくちゃえらい立場の人間なのだ。


 コンマ数秒で、ゆき氏の手を下げた。


 驚いたゆき氏を他所に白々しくする俺。


「何するの!みーちゃん!」


「しー!今は王女なんだから。」


「あっ、そうだった!やべっ」


「ほーら、行くぞ!」


「うん。」


 セレーナの後をついて行くと屋台のようなお店があった。髪飾り専門のお店のようでバレッタをはじめとして色々なものが広がっている。


「うわぁー!これかわいい!」


 ゆき氏が気になったバレッタは青色で真ん中に青色の宝石がはめ込まれている。周りには黄土色のレースがされている。


 今のゆき氏には赤とかピンクが似合うな。

 まぁ、好みを否定するのはダメだな。


「これはセレーナさんに、私はこれかな?」



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