トラウマ2
「神野、大丈夫か?」
ベッドに横になると、担任の先生が心配そうに私を見る。
「大丈夫です。でも、もう学校に、来たくないです。私は何もしていないのにっ……なんでっ」
「葵にも話を聞くが、もしこれからも続くようなら転校とか保健室登校でもいいからな。何かあったら自分の中で解決じゃなくて、誰でもいいから相談するようにな。今日は帰って、ゆっくり休んでおけ。」
「はい。ありがとうございます。」
私の中学生活はもう、地獄しかないとこの時に理解した。
いじめることが好きなんてひどい人だ。
人をいじめてなにになるんだ。
私はしばらく保健室登校に変えた。
教室には1歩も踏み入れず、保健室で勉強をした。テストもここで受けた。
最初は、下駄箱の中にはいってるうわばきに土をいれたり、ゴミ箱のゴミを詰め込んだりしていたがそれもなくなってきた。
久しぶりに教室に入ると私の事なんか興味無さそうにお友達と話したり、勉強していた。
なんだったんだろう。
そんな虚無感が私の胸にあった。
放課後。1日何事もなく過ごした。
校門から出ようとすると、校門の前に隠れていた葵が右腕を掴んで自分の方に手繰り寄せた。
「おい、お前のせいで私が怒られただろ!」
「いや、私は首締められてたし……」
少し反抗的な素振りを見せると掴んだ腕はそのままに引っ張りはじめた。
葵はバレー部に所属していてエースと言われるくらい上手いと噂で聞いたことがあった。
振り払おうとしてもビクともしない。
「葵さん、離してください!」
「うるせぇ、黙ってついてこい。」
これ以上何かすると今度は首締めだけではすまないと思い、口を固く結ぶ。
「よし、入れ」
そう言われた先を見ると小さな小屋があった。
「えっ、なんで、きゃっ!」
ドアの前で立ち止まると後ろから押され、小屋の中に無理やり入れられた。
「お前の存在を消してやる!」
仁王立ちしていた葵が鬼の形相で睨んでくる。
「なんで、どうして!」
「お前が憎いからだよ。」
話終えるとドアをゆっくりと閉める。
「待って!」
ドアから出ようとしたがすんでのところで閉められてしまった。
光がなくなり、真っ暗な部屋の中。虫がなく声やすきま風の音が絶え間なく聞こえる。
寒くて、怖くて体が震えはじめる。
「助けて!誰か!誰か気づいてください!」
呼んでも、返ってくる声はない。ここまでくる道のりで誰1人会っていなかったから。
「おい、誰かいるのか?」
いるはずもない人に声をかけられ、驚きのあまり黙り込んでしまった。
「気のせいか……」
その人がここから離れていく音がする。
「待ってください!」
私は精一杯叫んだ。




