トラウマ1
「セレーナさん?」
ゆき氏は真剣な顔だった。俺と話してる間は基本的にふざけていたり、笑顔でいるためこんな表情を見たことがない。
そこまでの話ってなんだ……
「……」
無言で続きの言葉を待つ。
「トラウマがあって……」
「トラウマ……、セレーナと関係があるのか。」
「そう。これは前世で中学生の時の話。」
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中学生。
小学生からほぼ変わらない顔ぶれで、知らない人もそんないない。
だから、なにごともなく過ごしていくと思っていた……
「ねぇ、何読んでんの?うわー、なにこれキモっ。」
「オタクってやつじゃね?」
「うわー」
中学に上がって朝の読書時間に家から持ってきたアニメ化された本を持ってきていた。
小学校の時は、みんな女児向けアニメとか見てたのに……
「うわっ、2次元オタキモ」
みんなの価値観が変わった。
私は読んでいた本を閉じて、大事に抱え、逃げるように教室を出た。
息が苦しい、みんなの視線が怖い、呼吸が詰まる。
やっとの思いで保健室にたどり着くとドアの前で倒れた。
目を覚ますと、窓に見える景色はオレンジ色に変わり私は保健室で一日を過ごしていた。
「目が覚めたの、よかったわ。一人で帰れるかな?親御さんを呼ぶ?」
「あっ、私……先生!私おかしいのかな?キモイのかな?」
大事に持っていた本は離すことなく自分の手に握られていた。
「どうしたの?落ち着いて、大丈夫だよ何かあったなら先生に相談してもいいのよ。話したくないなら無理に話してとは言わないからね。親御さん呼ぶから少し待っててね。」
「……はい。」
次の日、学校に行くと机に落書きされてボロボロになった教科書が置かれていた。
「えっ、なにこれ……えっ」
「ふふふっ」「うけるわ」「反応おもろー」
周りから聞こえる声が、視線が、私に向く。
どうして。なんで、こんなことに……。
「どうして、こんなことするんですか……」
「そりゃ、お前をいじめるのが好きだからだよ。小学生の時からお前が嫌いだ。男子に色目使いやがって、このクソ女!」
「私はそんなことしてない。」
「嘘をつくな!」
胸ぐらをひねるように掴まれる。そのせいで気管が狭まり、呼吸が出来なくなる。
「か、ひゅ、や、やめっ、ひゅ」
「さすがにやばいよ、離してあげな」
「はぁ?うるせぇんだよ。」
止めに入ったのが男子で、さらに怒りをかった。ひねる力が強まる、視界が滲み、涙が静かに流れる。
「っ、ふっ、はっ、……」
「なにしているだ!」
担任の先生が入ってきて、私の首から手を離してくれた。
膝から崩れ落ち必死に酸素を吸う。
「っはぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「大丈夫か、神野!」
そのまま、保健室に運ばれた。




