真相
「それは……」
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「アイラ様!!」
私の名前を呼ぶ男から私を庇って、木から出ていった。
狂気じみた笑で、アイラ様の腕を切り裂いた。
「うっ、く」
飛び散る赤い血が私の顔についた。
アイラ様は切られた左の二の腕をグッと押さえる。
男は痛がるアイラ様を見て、固まった。
アイラ様は次第に左右に揺れて、倒れてしまった。
「キャー!!アイラ様!アイラ様!誰か、誰かアイラ様が!!」
私が叫んだことで今の状況を理解したのか、男は慌てて走り去る。
遠くから、大地を蹴る軽やかな音が聞こえる。
「誰か!アイラ様が!!」
私は精一杯、叫んだ。
「ア、アイラ!!」
私に近づいてきたのはユウキ様だった。
先程、婚約破棄を宣言した後で気まづいし、悲しさが込み上げてくる。
「ユウキ様……っアイラ様が左腕を切られました。相手は金髪で身長はアイラ様より少し高かったです。ナイフを右手に持っていたので右利きだと思います。」
腹を括って今あった事情を話し始める。でも、目は合わせられずにアイラ様を見続けた。
ユウキ様がどんな顔をしていたか、わからない。でも、私の肩に手をおくと心配そうに言った。
「セレーナは大丈夫なのか……」
下唇をかみしめ感情を押し殺す。ユウキ様を心配させないように笑顔を作る。
「私は大丈夫です。それよりアイラ様を」
「ああ」
ユウキ様はアイラ様を優しくお姫様抱っこをして、自分の部屋に運ぶ。
その間、会話をすることはなかった。
ベッドに寝かせて医師に診てもらって、しばらくしてアイラ様は目を覚ました。
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「あの方がどうして私を襲おうとしたのかはわかりませんがアイラ様が目覚めてくれて本当に良かったです。助けていただいて申し訳ないんですがこれで失礼します。お大事にしてください。」
「あっ、待ってください。」
俺はセレーナさんを追いかけて廊下に出る。目覚めたばかりでふらつく視界にセレーナをとらえた。
「セレーナさん!待ってください、っはぁ、はぁ」
息ができない。膝がガクッと折れて地面に四つん這いになる。
「アイラ様、どうしてここに安静にしてください。」
「お、おれぇ、こんなかっこ悪いところが多いけど、セレーナさんのことを絶対に幸せにします。っ、はぁ、セレーナさんの笑顔が見たいんです。さっきの今ですみません。ぐっ、は、けほ、でも、俺の婚約者になっていただけませんか?」
冷汗が止まらない。顔を上げることもできない。
四つん這いのまま、体が動かない。今、セレーナさんがどんな顔をして俺を見ているのかわからなくて怖い。




