練習の成果
「セレーナ!!」
前を走っていたセレーナが走るのをやめて俺の方に振り向く。
「ユウキ様?、アイラ様?えっ、ちょっ」
その瞬間俺が前に出て、セレーナの腕を掴んで走る。
「四季、セレーナの腕を掴んだ。」
「了解っす!チャラ男は進行方向左側に待機、今のスピードのまま右に曲がってくださいっす。」
「了解!」
スピードを落とさぬよう注意しながら右に曲がる。
「アイラ様?どういうことですか?いったい何が」
「セレーナさん、今は少し俺にエスコートさせてください。」
「えっ?なんでですか?もう疲れました。」
「少し理由があるので……まだ言えませんが、とにかく俺を信じて走ってください。」
「……分かりました!」
「チャラ男が追いかけてくるっす。後ろに接近中、右側の大きな木に隠れてくださいっす!」
「了解!」
「セレーナさん、あの木の後ろに隠れますよ。」
「どうしてかわからないけど、分かりました。」
息を殺して、一緒に木の後ろに隠れると、チャラ男の姿を確認した。手にはナイフを持ち、黒色のパーカーとパンツで闇に消えていた。
「っち、逃がしたか。」
悔しそうに舌打ちをして、その場から去っていこうとした。
その時。
パキッ
セレーナさんが木の枝を踏んで音が出てしまった。
チャラ男は俺たちがいる木の方向に近づいてくる。
「セレーナ、こんなところに隠れてるなんてな。さっさっとしまつさせろ。」
俺が咄嗟に木から飛び出して、セレーナを庇う。
「アイラ様!!」
「うっ、く」
左側の二の腕を切られた。
ドクドクと血が溢れ出す。不思議と痛みは感じない。
ただ、意識が……。
「アイラ様……」
「アイラ」
腕の痛みで目を覚ますと眩しい光に目をしばしばさせる。
「……ここ、は?」
少し動いた時にふわっという感覚。これはベッド?
「アイラ!!」
「アイラ様!、よかった、無事っ、で、っ」
ぼんやりとした視界からユウキさんとセレーナさんがいるのがわかった。
「セレーナさん、無事で、よかった、……」
「アイラ様、私なんかを助けていただきありがとうございます。」
「なんかなど、言わないでください。」
セレーナさんが俺に抱きつく。
傷がズキッと痛む。
「っ、痛。」
「ご、ごめんなさい。私……」
涙目で反省しているセレーナさんを安心させるためにゆっくりと起き上がり、抱きついた。
「大丈夫ですよ。泣いている顔より今は笑っている顔が見たいです。」
でも、なんでここに?あいつはどうしたんだ?
「なんでここに?俺らを追いかけてた人はどこに行ったんですか?」




