婚約破棄パーティー
心の中で名前を呼ぶと鏡が光り、セレーナが映し出された。
暗い顔でベッドの上に座っている。
「これって、話しかけられないよな。」
「はい。見られるだけっす。」
暗い表情のわけを聞きたいのに話せないし、触れられない。……苦しいな。
「私は……なんて、絶対に嫌!!」
急に表情を変え、手紙らしき紙をビリビリに破いて上に放り投げる。
雪のように降る紙、怒って真っ赤に染まった顔。
頬をぷくっと膨らませてかわいいな。でも本当に、なんで暗い顔をしたり、怒ったりしているんだ?
「四季、このストーリーってある?」
「微妙なラインっすね。」
顎に手を添えて考え込む。
「どういうことだ。」
「あるところとないところがあるんす。」
「やっぱり、影響がでているのか。……あるところってどんなところなんだ?」
「手紙はあるんすけど、内容が違うっす。」
「内容?小さい声であまり聞こえなかったんだが、何て言ってたんだ?」
「……」
少し気まずそうに、目線をそらす。
「どうした?」
「あっ、いや心して聞いてください。」
真剣な表情に変わり、両肩をしっかりつかまれる。
「……おぅ」
「婚約破棄パーティーっす。」
「えっ、婚約破棄パーティーってなんで!」
「本当のストーリーでは、婚約破棄パーティーと書かれていないっす。それに時期がもっと後なんす。」
「そうなのか……俺には止められなかったのか。」
いや、何を言ってるんだ。これはチャンスじゃないのか。
「日にちとかはわからないよな。どこでやるのかも知らないし……」
二人して考え込む。
そんな時、ドアからコンコンとノックする音が聞こえた。
「はい。」
返事をすると、入ってきたのはユウキさん。
「ユウキさん、どうしましたか?」
このタイミングでか。さっきまで話していたことが頭から離れなくて、ちゃんと笑えているかわからない。
そんな中、結城さんは深刻そうな顔で話し出す。
「アイラ。今週末に親族のみでパーティーを主催するから、来てもらえないか?」
「今週末ですか?」
「ああ、じゃあ。要はこれだけだから。また今週末。」
「あ……はい。」
ドアが閉まるのを眺めるだけで、体が動かなかった。
「アイラくん。もしかしたらそのパーティーって……」
「婚約破棄のパーティーかもしれないよな。」
「はい。」
「何か、止める方法は……」
「ないっす。セレーナの場所にも手紙がいってるっす。今更止められる方法はないっす。」
それを聞き、深呼吸をして呼吸を落ち着けた。
「じゃあ、俺はセレーナに婚約を申し込む。」




