過去編3
「そんな方もいるんだな。」
「私もそう思った!」
お父様は笑顔で話を聞いてくれる。
「私も」
「そのユリ様のことを、婚約者にしたいと思ったんだね。」
私の言葉を遮って、お父様は話した。
私は、ユリ様みたいに自分の好きな格好で自分の意見をしっかり言えるようになりたいだけで、婚約者にしたいとは思っていなっかったから。
「それは違うよ。私はユリ様のようになりたいの。」
「どういうことだ。」
「憧れなんです。それに私はもう婚約したい方がいます。」
「それは誰なんだ。」
「それは、言えないです。」
「婚約者は生涯ずっと一緒にいると誓う方なんだぞ。親である私に教えないなど」
「いつか、しっかりと言います。」
帰り道で約束通りかわいいピンクのドレスを買ってもらい袋をギューッと抱きしめた。
兄上みたいにまたパーティーに行くのかと思っていたけど、そんなことはなかった。
ある時、貴族同士のパーティーでユリ様と再会した。
「ユリ様?」
「ああ、キサラギ様ですね。お久しぶりです。」
「お久しぶりです。」
「あの、……ユリ様の家にご招待いただきたいです。」
「いいですよ。私の着ない服着ますか?」
「嬉しいです!」
それから、ユリ様の家に遊びに行くようになった。
「この服はどうですか?」
渡されたのはピンク色のフリフリのドレス。
着てみると、かわいくて回るとスカートがフワッと浮く。
嬉しすぎて、目が回った。
その場でフラフラしてるとユリ様の笑い声が聞こえた。
「ふふっ、キサラギ様は面白いですね。」
はじめて言われた。
床に尻もちをつくと、慌てて服に汚れがついていないか確認する。
「大丈夫ですよ。気に入ったのならあげます」
「いいんですか!」
「はい!」
ユリ様はいつも私に服をかわいい服を着せてくれて、代わりに私は自分のスーツを貸した。
好きなことをして、2人で笑い会う日々は楽しくて嬉しくてあっという間に過ぎていく。
そんなある日。
「おーい、ユリ!」
私が2回目にユリ様の家にお邪魔させていただいた時に、ユリ様の婚約者というアイダ様が入ってきた。
第一印象は優しそうで、笑顔が似合う人。
お邪魔だと思い、その日は帰った。
それ以降、招待されることがなくなってしまった。
それから、3年。
ユリ様の招待状が届いたのは、私が9歳になった頃だった。
直ぐにゆり様の家にお邪魔すると、目の下にクマが出来て、服装は女性の格好をしていた。
「どうしたの!?」
驚きのあまり、ユリ様に近寄る。ユリ様は泣きそうな顔で私に抱きついてきた。
「どうしたんですか!」
「実は……」
私に抱きついたままボソボソと話そうとすると、玄関の方で声がした。




