過去編1
キサラギさんの部屋につく。バクバクと動く心臓を落ち着けるようにさっきより長い深呼吸をする。
コンコン
「キサラギさん、入っていいですか。」
「……いいよ。」
かれてる声で言われた。泣きすぎて声がかれてしまったのか。
「先ほどはすみませんでした。」
ドアを開けてすぐに頭を下げて謝った。
「だから、もう大丈夫だよ。」
ゆっくりと頭を上げて、キサラギさんの近くに行く。
服はいつもの、ピンク色のスーツ姿に戻っていた。
俺のせいだ。心が苦しくなる。
「……俺、前世の記憶があって。女だったんです。」
「……そうなんだ。」
「驚かないんですか?」
「驚いたよ。でも、真剣だから言葉を止めさせたくなくてね。」
「ありがとうございます。……それで、俺は同性の女の子が好きでした。普通は威勢の男を好きになる。叶わない恋だと思って思いを伝えることが出来ませんでした。」
「つらいことを話してくれてありがとう。アイラこそ思いやりのあるいい子だよ。」
「これで、平等かなって……。一方がつらいだけだと平等じゃないんで。でも、もし、話して楽になるのであればキサラギさんのことも知りたいです。」
「僕のことか……。」
「無理にとは言いませんので。」
キサラギさんの部屋から帰ろうと立ち上がった時。か細い声で話し出す。
「僕はかわいいものが好きなんだ。」
俺はもう一度座りなおすと、キサラギさんの話を真剣に聞く。
「昔の話なんだけど……」
私が五歳の時。
兄上が、婚約を決めるパーティーに、行くことになったの。
帰りを待っていると、明るくニコニコの兄上が頭を撫でてくれた。
「あにうえ。たのしかったですか?」
「うん!とっても、キサラギも行けばわかるよ!」
「はい!」
その次のパーティーに行った兄上は、辛そうな顔をしていた。
楽しくなくなっちゃったのかな?
兄上に聞気に行こうとしたけど、部屋に閉じこもっていたため、話しかけられなかった。
そんな時、顔を明るくして玄関を飛び出す兄上を見た。一番最初にパーティーに行った時の表情と同じだった。
どこにまた、パーティーに行くのかな。
でも、ひとりで?
それから数時間後。
玄関のドアが開いた。
「あにうえ!おかえりなさい!」
元気よくいい、抱きつこうとしたが兄上は朝の明るい顔ではなく、2回目のパーティーの時でもない悲しみを全面に出していた。
涙は滝のように流れ、目を赤く腫らし、過呼吸を起こしてその場に膝をついた。
「っひゅ、ひゅ、ぐすっ、ゆ、きや、ひゅっらさま、ぐっ、ひゅ、す、きっなのに、うっ」
「あにうえ!」
そばにかけより、力の限り抱きしめた。
兄上には笑って欲しいのに、私だったら絶対婚約する!




