目撃
「このゲームの内容が、少しづつ変わってるっす。」
「えっ?でも、一人の行動が変われば自然と変わるのは当然のことじゃないか?」
「まぁ、そうっすね。このまま変わっていくと、僕が知らない内容になりそうっす。」
「四季は、神様に作られた案内役じゃないのか!」
「いや、そうなんすけど。教えられたのはあくまでゲームのストーリーのみっす。」
まじか。俺はこの世界の異分子だから、その辺も完備されてると思うだろ。
このままストーリーが変わり続けたら、俺もそうだしキャラクターもどうなるのか。
「この変わってくイベントを知る方法はないのか?」
「ないっす。ただ、僕が知ってる範囲のイベントはしっかり案内するっす。もし、知らないことが起きた場合。アイラくんは僕が助けるっす。」
「ありがと。でも、それで、もしキャラクターが亡くなることになったら……それは阻止しなくては。今は平気なのか。」
2人と別れて自分の部屋に帰ってきたが、不安になってきた。
「キサラギさんは大丈夫か!」
俺は、優しく看病してくれたキサラギさんの部屋に向かった。
息をきらせながらも部屋にたどり着くと、ノックもせずにドアを勢いよく開けた。
「キサラギさん!」
そこにはかわいいメイド服を着たキサラギさんが鏡の前に立っていた。
綺麗な金髪はツインテールに、スカートは膝より上でキレイな白い足が顔を出している。
「え、えっと……」
「……ごめんなさい。誰にも言わないで……お願いします。」
俺の服の裾をグッと力強く握り、縋るように謝った。
「キサラギさん……」
俺は慌ててキサラギさんの手を優しく掴んだ。
「謝るのは俺の方です。ノックもせずに入った俺が悪いんです。」
「でも、こんな格好。気持ち悪い。女の子でもないのにかわいい服来て、髪型を変えて……私……うぅ、ぐすっ」
俺に縋っていた手は両方とも顔を覆う。
俺はキサラギさんと目線を合わせるためにしゃがみ今度は体ごと優しく包み込んだ。
冷たく震えているからだ。流す涙は熱く、鼻をすする音はキサラギさんの苦しさを表す。
俺は恩を仇で返してしまった。
「キサラギさん、恩を仇で返してすみません。俺にできることならなんでもやります。」
「……いいよ。それより、嫌なもの見せてごめんね……」
俺から体を離すと、髪や服装をベッドの掛け布団で隠した。
「……ごめんなさい。」
「だから、いいよ。」
俺はもう一度謝り、部屋を出ることしか出来なかった。
キサラギさんの方が辛い思いをしたのに、俺が泣いてどうすんだ。




