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悲劇

部活帰りの生徒がチラホラと帰っていく。その隙間をぬって、学校の外へと飛び出した。


午後6時。夏のためまだ空は明るく周りがよく見える。


 目の前には交差点。出来事は一瞬だった。横断歩道の手前で止まった俺に、トラックが突っ込んで来たのだ。


 迫り来る大きなトラック。動けずにいる自分。本当に怖い時って声が出ないのか。視界がグニャッと曲がったと思ったら、赤く染っていた。手足の感覚がなくなり、意識も朦朧とする。


倒れたと思う。でも、首の辺りが温かい。血なのかとも思ったけど、流れてる感覚ではない。


誰かに支えられてる……?

ぼやける視界で周りを見ると、頭から血を流す人が俺を見ていた。



「み……ん…きて、おね…い!」



誰かの叫ぶ声が遠くで聴こえる。


ああ、俺はもう死ぬのか。


ゆき氏、どうしてるかな。

嫌なことを言われたからカッとなってゆき氏にも酷いことを言ってしまった。

このまま、お別れなんて……



ゆき氏……




次第に意識が朦朧となり、そのまま人生の幕を閉じた。


----------------


みーちゃんを追いかけ、生徒の間をぬい交差点に出ると、右から来たトラックが明らかにおかしい動きでみーちゃんに迫る。


その瞬間。運動が苦手、走るのが遅い。そんなの関係なかった。


とにかく、みーちゃんを助けようと必死で走る。追いつけないのはありえない。救わないと!


今までの中で、1番の速さだった。


なにもかもが、スローモーションのように感じた。


みーちゃんと一緒にトラックにぶつかり、私は端っこの部分に頭を強打して、右側の目は見えない。ただなんとか、みーちゃんを左手で抱えられた。


頭からは、大量の血を流して顔全体が赤く染まり、グダっと体重がかかる。みーちゃん、これからも一緒に生きていくよね。徐々に冷たくなっていく体に不安と焦りを覚える。


「みーちゃん、起きて、おねがい!」


自分の怪我なんてどうでもいい。それに、今は痛みを感じない。だから、みーちゃん。




視界がぼやけ始める。

それでも、みーちゃんが助かる方法を考える。

ずっと、忘れていた。


「救急車、呼ばないと……」


私は慌ててスマホを探す。破片の中に紛れてるのを見つけた。

画面は割れていたが電源は入った。


即座に1.1.9の数字をタップして、電話をかける。


「救急車を、トラックが、事故で、みーちゃんが、死んじゃいます。助けてください」


伝えたいことがありすぎてまとまらない。


とにかく救急車を頼んだ。



次第に意識が朦朧とし始める。叫んだせいかそれとも頭の怪我のせいか周りの景色がぼやけて。




私も意識を失った。









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