優しい人
コンコン
「キサラギさん、失礼します。」
「どうしたの?」
キサラギさんは笑顔で迎えてくれる。
「えっと、……しばらくの間キサラギさんの部屋に泊めていただけませんか?」
「どうして?ケンカしたの?」
「いえ。そうではありませんが、……」
どうすればいいのか会話に困る。
口を動かしながら必死に頭を回す。なんて言えばこの場を乗り切れるか。
「兄上のこと嫌いなの?」
「いえ、寝相で抱きつかれるのですがそれで呼吸がしずらくて、嫌という訳ではありません。俺が病弱なだけです。」
「じゃあ、僕が兄上の所に行くのは?」
ナミキさん、俺に行かせたくらいだから絶対緊張するよな。
「俺、キサラギさんと過ごしてみたいです。」
「えっ、僕と?」
「はい!」
「そうなの。面白いことなんてないけどそれでもいいなら。」
優しく微笑むと、キサラギさんは自分の隣をポンポン軽くたたいて俺を催促する。
隣に腰を掛ける。
「僕、遅くまで勉強してるから先に寝てね。体調が悪かったり何かあったときはすぐに言うこと!わかった?」
「はい!」
キサラギさんは俺のことを気遣ってくれてやさしくて、もしナミキさんの恋人になったら……なんて考えるけど恋のことなんて俺にはわからない。
言われたように先にベッドへ入ると、勉強をしているキサラギさんが見える。
「お先にすみません。おやすみなさい。」
「おやすみ。」
俺のほうを向き優しく言ってくれた。
次の日、目を覚ますと机に突っ伏したまま眠っている。キサラギさんの姿があった。
「キサラギさん、朝です。起きてください。」
「んんっ、おはよう。」
目をこすりながら挨拶をすると、机に広げていた教科書などを片付け部屋を出ていく。
「キサラギさん?」
慌ててついていくとナミキさんの部屋に入っていく。
「兄上。起きてー」
ベッドに近づき毛布をめっくた。
「キサラギ、おはよう、ん」
トロンとした顔でキサラギの首に腕を回す。
キサラギさんは脇下に腕を回してナミキさんを立たせる。
「兄上。起きた?」
「んっ、ありがとな。」
そう言ってキサラギさんの頭をなでる。
この光景、見てもよかったのか?俺はそーっとその場から離れた。
もしかして、昨日ナミキさんの部屋に来たのってこういうことだったのか。
俺的にはもう付き合っている気がするが……。
「ごめんね。何も言わずに出て行って」
「いえいえ。」
「そうだ、アイラって勉強とかしてる?」
「魔法の勉強くらいかな」
「じゃあ、僕が教えようか?」
「いいんですか?」
「うん」
こっちのことを学べるのはいいな。いつか必要になってくるし。
「お願いします!」




