誤解
「俺は今、キサラギを好きなんだ。さすがに引いたか?」
「そんなわけないですよ。」
「そうか……なんか、話せてスッキリした。ありがとな。」
顔を赤く染めて言う。
つられて俺もナミキと同じくらい顔を赤く染めたと思う。
「顔が赤いぞ。タコだな。」
ナミキさんが俺の顔を見て笑ってくる。俺も負けじと「ナミキさんも」と付け足す。
頬を膨らませてムッとする。最初は真顔でにらみつけられたのに、今ではこんなにいろいろな表情がみれてうれしいな。
「あのさ、……アイラは好きな人いるのか?」
また突然、ゆき氏みたいだな。
「まぁ、いますかね。」
「誰だ?誰なんだ?」
四つん這いになったナミキさんが興味津々な様子でニヤニヤしながら、俺の方に1歩、また1歩と近づいてきた。
うーん、ナミキさんも言ってるしな。
「セレーナ……です。」
「まじか!?ユウキ兄さんの婚約者に?でも、俺も兄弟だからな。お互い叶うか分からないな。」
「そうですね……。でも、諦めることはしません。何事も挑戦ですから。」
「そうだな。」
お互いのことを知るのはいいことだな。
夜もふけてきて、そろそろ寝る時間になった。俺が床で寝ようとすると、ベッドの毛布を軽くめくり顔を背けながら「入れば」とだけ言うとそのまま横になり寝てしまった。
本当に優しいな。ベッドにもぐりこみ目をつぶった。
朝目を覚ますとナミキさんの姿がなく、起き上がると腰辺りが妙に重く感じる。
毛布を軽くめくると、俺の腰元に抱き着いて眠るナミキさんがいた。
「ナミキさん、起きてください。朝ですよ。」
軽くゆするが起きる様子がない。どうしようと頭を抱え込むとドアが開き、きれいな金髪をポニーテールにしているキサラギさんが入ってきた。
俺を見た瞬間にえっと驚いた顔をしてそのままドアを閉めた。
「えっ、えっ、待ってください。何か誤解してます!キサラギさん!」
このまま誤解されるとナミキさんの恋が……必死に叫ぶとドアがゆっくりと開きキサラギさんの顔がひょこっと出てくる。
良かった。とりあえずホッとしていると、キサラギさんが中に入ってきてベッドの毛布をめっくった。
「兄上!兄上……」
腰に抱き着いているナミキさんを見られては、今から言うことが全部言い訳に聞こえるだろう。まず、言ってなかったのか。いや、いえなかったのか。
「これは、俺が部屋を燃やしてしまってしばらくの間ナミキさんの部屋に居候させていただいているだけです。どうか誤解しないでください。」
一応説明はしたけど聞こえてるのかな?
「……んっ?なんだ……、はっはっ、キ、キサラギ!これは違うんだ。これはえっと」
慌てて俺から手を離し、キサラギに向かって違う違うと両手を振った。
「ナミキさん、一応説明はしました。」
ナミキさんを落ち着かせるために声をかける。
「兄上。」
キサラギさんは暗い顔をしたままこの部屋から出ていってしまった。
「キサラギ……」
ナミキさんを励ましながら、次にやるべき行動を考える。
キサラギさんの誤解をしっかり解くこと。




