過去3
そのうち、1人がボクにゆっくり近づいて来る。
……マリナ様だった。
「ナミキ様は男の方が好きなゲイですか?」
また、ストレートに聞かれた。
なんで、ボクの態度でわかったのか。それとも、誰かが噂として広めているのか。
「どうして、ですか?」
「ユキヤ様がおっしゃられておられましたので」
「そんな……」
膝から崩れ落ちた。頭は床へ、涙は滝のように流れる。
「……ぐすっ、ぐすっ」
ユキヤ様が……
「ナミキ、今日は帰るか。少し待っていろ。」
父様は主催者に用事ができたと伝えていた。
ボクのせいで父様に迷惑がかかる。リース家の名に傷をつけてしまっている。
車に戻る時、父様に謝った。
「ボクのせいで父様に迷惑をかけてごめんなさい。」
父様は笑いながら優しく頭を撫でてくれた。
安心する。
でも、……ゲイか。ボクはおかしいのかもしれない。
家に帰ると、ゲイや男の子が好きな男の子という言葉を探して見た。
ある本には、ボクと似た人のすごく短い物語が載っていた。
ある町で生まれ育った美弦は、同じ女性の幸子に恋をした。周りの人々は男と女で結ばれ、子を授かり家名を繋げてきた。その中で美弦は、異分子として人々から冷たい視線と気持ち悪いなどの暴言を浴びた。
美弦の気持ちにこたえるように幸子は好きになった。お互いの愛を確かめ、結婚まで考えた。でも、周りはそんな二人をいじめ、ついには越えてはいけない一線を越えた。
町の人々は、二人を殺したのだ。
「はぁ、はぁ、はぁ……ぅおぇ、ボクも、この二人のように、う、おぇ。」
怖くて呼吸が乱れる。それに吐き気も……。
物語を読んでわかった。ボクは異分子なんだ。目立たないように、好きになってもその気持ちを押しつぶして死ぬまで誰も愛せない。
周りの人にはばれないように口を閉じて、弱く見えないように自分を強く見せる言葉遣いを心がける。
この日から心を入れ替えた。
でも、やっぱり好きになっちゃうんだよ。
俺が十五歳の時。
今までかわいいと思っていた弟に違う感情を感じてしまっていた。
大きくなるにつれて俺の伸長を抜かし、体つきががっしりとして顔もくっきりとして見るたびに心臓がドクンと高鳴るようになった。
「兄上?」
「へぇ?な、なんだ。」
びっくりして、変な声が出た。
「急に動かなくなったから、心配で声をかけただけだよ。」
「ああ、悪い。」
「兄上、お疲れだったら私に付き合わなくていいんだよ。」
「いや、別に疲れてないから平気。」
「それならいいんだけどね。」
好きになってしまった瞬間は今も覚えてる。




