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転生したら第四王子だったので悪役令嬢をハッピーエンドにします  作者: 春香 光
第二王子ナミキ・リース
22/162

過去2

 先に車に乗り込むが一緒に帰るので当然、父様も乗る。


「さっきのはどういうことだ。行きたくないなんてそんなこと言うな。」


「父様にはボクの気持ちは分かりません。」


 初めての反抗だった。父様のことは好きだけど、もうパーティーには行きたくない。


 車の中は驚くほど静かで、空気が悪かった。


 家に着くと父様から離れるように走って、部屋にかけこんだ。


 誰にも会いたくない。

 ベッドに飛び込み、毛布を全身にかぶる。


 コンコンとドアを叩く音と、「ナミキ、返事をしなさい」という声で外はうるさい。


 マクラを顔に近づけて、大きな声を出した。


「あ"ああーー!」


 嫌だ、嫌だ、何もかも嫌になる。


 ユキヤ様に会いたい。






 しばらく部屋に閉じこもったと思う。


 窓の外から見える景色は暗く、今日はずっと部屋にいたのかと錯覚する。毛布をめくり、起き上がると自分の服が見えた。それだけで、今日はパーティーに行ったんだと、憂鬱な気分になる。


 ドアを開けると目の前には父様が立っていた。もうとっくにいないと思ったのに……。


「やっと出てきたな。ナミキ。」


「……父、様。」


「言いたいことがあるなら言わないと分からないだろう。」


「……ボク、ユキヤ様と婚約したいです。」


「何を言ってるんだ!あいつは男だぞ!」


「ユキヤ様がいいです!女の子と婚約しろと言われても困ります。」


「勝手にしろ。」


 それだけ言い残すと、この件に触れられなくなった。


 そんな時、ユキヤ様に会う機会があった。


「ユキヤ様、お久しぶりです。」


「お久しぶりですね。」


「あの、婚約者って決まりました?」


「まだですよ。」


「それじゃあ、……ボクはどうですか?」


 思い切って、言った。目が開けられない。だって、言っちゃったから。

 心臓がドキドキと鼓動して、破裂しそう。


「えっと……」


 ユキヤ様の声が聞こえ、ゆっくり目を開けてみる。

 そこには、いつもの明るい笑顔ではなく、虫を見たような顔でボクを見ていた。


「き、気持ち悪い。」


 好きな人に真正面から言われた。


 涙が頬を伝って流れる。何滴も何滴も止まることがない。


「うぅ、なんで、なんで……、ユキヤ、さ、ま……」


「話しかけないでください。」


 ボクに背を向けて歩いていく。1歩1歩と遠くに行ってしまう彼をボヤけた視界で見ながら。


 しばらくして、貴族たちが揃うパーティーに出席した時。周りの視線が刺さるような気がした。


「あの方って……。」


「……様に婚約を申したとか。」


「まじか、気持ち悪い。」


 この場の空気が悪くなるのを感じた。

 


 

 

 

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