秘密
男の人が表紙に写っていて、見出しにはゲイスポットなどの出会いの場が書かれていた。
「ゲイ向けの雑誌ですよね。」
思ったことをそのまま聞いた。
「……ああ。引いたよなっ。気持ち悪いよな。っぐ」
雑誌を抱えている手に力が入り、クシャッと音をならす。瞳には涙を浮かべ、苦しそうな顔をする。
「そんなことっ!」
否定しようにもそれを遮って、大きな声で言い返される。
「そんなことあるってっ!俺は気持ち悪いんだよ。親にも、親友にも言われたから。もういいんだ。」
「なんで!」
「同性同士なんて気持悪いに決まっている。普通じゃないんだ!」
そんなことを言われたのか。ショックが隠せない。
「落ち着いて!俺を見て……」
「はぁっ?」
ナミキさんは俺に呆れた顔をして、違う方向を見る。俺は両頬を手で挟み、こっちに無理やり向けさせた。
「俺もだから」
ナミキさんの両肩に手をおきなおし、グッと力を入れて真剣に見据える。
「えっ……」
俺の言葉を聞き、話すことをやめた。
「俺、本当は女なんだ。前世で死んでここに転生してきた。」
「えっ!?嘘だろ?えっ?えっ?」
そりゃあ驚くよな。俺もこんなこと言われたら驚くし、冗談を言ってると思う。
「嘘じゃない。それに俺は女の子が好きだ。前世では好きな子がいた。叶わない恋だったけど、そばにいるだけで嬉しかったんだ。」
「……」
信じられないという顔で、俺を見てくる。
納得させる気はない。同じような人がいることを伝えたい。それに、俺たちも普通の恋をしてるということも。
「普通じゃないなんて、そんなことはない。それぞれの形なんだから。みんな同じってわけじゃないんだ。」
「う、うぅ、ぐずっ、ぐずっ」
堪えていた涙は次から次へと流れていく。
そっとタオルを近づけ拭くと、自分の血が少しついてしまった。
「あっ、血が……ごめんなさい。」
「ふふっ、あはは!面白いなお前。父様が急に連れてきて兄弟だとか言うからどんなやつか見定めていたのに、ふふっ」
「なんですか。嫌われてるとは思いましたが、そういう理由だったんですね。」
「ああ」
「いい人なのはわかってました。」
「なんだよ。恥ずかしいこと言うな。でも、そうだな。お前になら相談してもいいかな。」
「相談?」
「ああ、今の好きな人について。とりあえず過去から話す。誰にも話したことががないんだ……もしかしたら気持ち悪いと思うかもしれない。それでも聞いてくれるか?」
「気持ち悪くなんてありません。是非聞きたいです。」
ナミキさんはまた笑い、優しく話し始めた。




