ナミキさんの部屋
戻ってきたナミキさんの顔は、真っ青になっていた。
「ナミキさん、大丈夫ですか?」
「……。」
無言で頭を抱えている。
不思議に思った俺は首をかしげ、四季の方を見た。
「ぼ、僕?何も知らないっすよ。ちゃんと本人に聞いてあげてくださいっす。」
両手を胸の前で広げ、左右にふった。
「だよな……。ナミキさん、言ってください。俺にどんな罰があるんですか?」
ナミキさんがここまで顔を青くして、黙っているということは、もしかして俺、殺されるのか……。
「……はぁ。」
その場でしゃがみこみ抱えていた手に力を入れ、聞こえるか聞こえないかくらいのボソボソとした声で話し出した。
「お前の部屋がないから俺の部屋にしばらくの間いろってさ。ふざけんなよ。クソっ……」
「……いいんですか?ありがとうございます。」
「いいわけないだろっ!クソっ……、1つだけ条件がある。」
「はい。」
「勝手に部屋を漁るな。わかったか。」
「はい。」
圧が強い。有無を言わさない。
それから俺は、身一つでナミキさんの部屋にお邪魔することになった。
「失礼します。わっ、すごっ。」
自分の部屋とは違い。趣味を全面に押し出している。宇宙とか星が好きなのか。
「宇宙、好きなんですか?」
「まぁな。というかあまりジロジロ見るな。」
「すみません。」
宇宙。星。プラネタリウムみたいで少し楽しいな。カーテンが閉まっていて、暗めな部屋に星のかざりがあちこちにちらばっている。
「あの、お話しませんか?」
「はっ?誰がお前なんかと」
「じゃあ、質問しますね。」
「だから、お前と同じ部屋は嫌だったんだ」
……当たりが強いな。俺の事、嫌いなのか?
「好きな食べ物はなんですか?」
「……特にない。」
「なんでも食べられるんですね。」
「いや、キノコは食べられない。」
「あー、食感とか匂いがきついですよね。」
「じゃあ、好きなことはなんですか?」
「……勉強。」
「すごいですね。俺、嫌いでした。」
「ふんっ、うるさい。話しかけるなよ。」
答えてくれたのはやっぱり、優しいからだな。
ここに来てもやることはないな。
部屋はリフォームにしばらく時間がかかるし、四季は消えるし、何をしてたらいいんだ。
ん?なんか雑誌が……
「これって……」
「なんだ。あっ、これはダメだ、見るな!!」
俺の手から勢いよく取り上げ、表紙を胸で隠す。その瞬間に手を切ってしまった。
「痛っ」
ドクドクと流れる血は止まる気配がなさそうだ。どんどん流れ出る。
「あっ、ごめんな!タオル、タオル。」
ナミキさんはタオルを俺の両手に乗っける。
程なくして血は止まった。
「すみません。汚してしまって」
「俺の方こそごめんな。でも、あれだけは見られたくなかった。」
アレというのは雑誌のことだろう。
あの雑誌は……




