失敗
あっ、そうだ!
「四季。俺に魔法を教えてくれる?ちゃんと使えるようになりたい。」
「うーん、そうっすね。」
「アイラくんの魔法は火なのでちょっとここでやるには危ないと思うっすよ。」
「でも、動けないし」
「……そうっすね。分かりました。ただほんとに気をつけてくださいっす。」
「はーい」
気が抜けたような返事をすると呆れた顔で見られた。
まずは基本を教えてもらった。
自分が持っている魔法の説明。魔法の使い方。でも、言葉だけじゃ分からない。実際やってみないことには……。
とりあえず、教えてもらった通りに手のひらを上に向け、そこに全集中を集める。
「んっ、ん"ー、……やった!」
現世でのマッチ位の大きさではあるが出た。
「すごいっすね!」
「おう!」
初めて出した魔法に胸が高鳴る。なんだこの嬉しさは……もっと、もっと、もっと!!
集中を高める。
次の瞬間。手のひらからは予想を超えた大きさの火が部屋を包んだ。
「あつい、あつ、……?あつくない?」
「アイラくん!早く火を収めてくださいっす!このままじゃ建物ごと燃えてなくなるっす!!」
「あ、そ、そうだな。えっと、えっと、四季!どうしたらいいんだ!収める方法が分からない!」
「えっと、えっと、とりあえず、別のことを考えましょう!川とか、海とか!!」
「そ、そうか。よし、川っ、海っ」
夏に遊びに行く川や海は猛暑で暑くなった体を涼しくしてくれる。バーベキューや花火なんてほんと楽しそうだとは思う。ゆき氏とは行ってみたかったかもな。
その効果があったのか火は少しずつではあるが小さくなっていった。
「ふぅ、良かった。なんとか収まっ……あーどうしよう。」
部屋はほとんど燃えてしまった。
「アイラくん。だから僕は止めたっすよ!」
「ほんとにごめんな。どうしよう。」
この大惨事。報告しようにも誰に……
「なんの騒ぎだ」
ドアが開き、ナミキさんが俺を見る。
「あっ、えっとー……」
目を泳がせる。何も言い訳が浮かばない。
「はぁっ!?なんだこれ!」
部屋は黒く焦げたあとが沢山あり、俺の衣服もボロボロ。
「とりあえず四季は隠れて、俺が」
「大丈夫っすよ。僕は見えないんす。」
「えっ?」
「神様に作られた案内役っす。アイラくんにしか見えないっすよ。」
「じゃあ、今この状況。俺がなんとかしなきゃなのか!」
「さっきからブツブツ何を言ってるんだ。父様に言いつけるぞ。」
「あ、えっとお待ちください。これは体調が悪くて魔法が誤作動してしまって」
「誤作動だと?これほどの魔法……。」
最後の方が聞こえなかったけど、絶対にやばい。ここで家を追い出されたらセレーナを助けるどころか体の弱い自分が破滅する。
「えっと……黙ってたりとかは、無理ですよね……。」
冷や汗が止まらない。やばいこれは本当にやばい。
「とりあえず、ユウキ兄さんには言うから、なにもせず大人しくしとけ。」
「……はぃ。」
バタンっと強く閉まるドアを見て、見送ることしか出来なかった。




