苦しい
突然、息が苦しくなり意識が戻った。
だが、状況は変わらない。
何が起こっているのかが全く理解できない。
視界はぼんやりとして、息が苦しい。
呼吸を吸おうにもなにかに塞がれている。
このままじゃ、また……
「ユウキ兄さん。何してるの。……アイラ死ぬよ」
「ナミキ!俺の手をアイラから離して。お願い。」
「わかった。」
遠くからそんなやり取りが聞こえる。
俺、もう……。
「がはっ、っゲホッ、ケホケホ、ぜぇ、はぁ、ヒューヒューヒュー、ユ、ウキ、さっ、」
「あ、アイラ。ごめん」
徐々に意識がはっきりする。目の前には涙を流すユウキ。ドアの前には、ナミキがたっていた。表情は読めない。
「ごめん、アイラ、ごめんなさい……」
それだけ言い残すと俺に背を向けて去っていった。
「ヒューヒュー、ユウ、キ、さっ」
「どうせお前がなにか言ったんだろ。」
ナミキさんは俺を心配する素振りが全くなく、逆に睨んできたくらいだ。
「ケホッケホッ、ケホッ」
「ふんっ。」
腕組みをして俺はエラいぞオーラを出している。
喋れない。喉が痛くて、咳も止まらない。
「ケホッケホッ」
「……」
ナミキさんは俺の方に水を近づけてからこの部屋を去っていった。
実はいい人?確か設定ではツンデレって書いてあったっけ。
それに、無口な割によくしゃべる。
しばらくの間、せきが止まらなくて苦しかったが、だいぶ治まってきた。
近くに置いてもらった水を何口か飲み、今の状況を整理する。
俺は多分、セレーナを助けようとして倒れた。
息が吸えなくて苦しくて意識が戻ってきた。でも、ぼやけていたし、耳は遠くなっていたからあまり分からなかった。
目の前にいたユウキさんの苦しそうな顔があり、名前を呼んだら謝られて部屋から去ってしまった。
それで、ドアの前にいたナミキさんは口調はキツかったけど、いい人っぽいってとこか。
「大丈夫っすか!?アイラくん!!」
必死な形相の四季が俺の両肩に手をおき、あちこちと心配そうに見ている。
「なんとか」
そう答えるとホッとしたように俺から離れた。でも、心配そうな顔はそのまま。
「良かったっす!僕、あの後ずっとあたふたして何も出来なかったっすから。」
「えっ、四季が助けてくれたんじゃないのか?」
「はい、助けたのはナミキっす。」
「そうなのか。ユウキさんの様子が気になるけど、今はあまり近くにいない方がいいのかもしれないな。今度はナミキに接触してみるか。」
「はい。僕が案内するっす。」
「でも、しばらくは無理そう。……でもここ、俺の部屋じゃないよな。」
「はい。ここはユウキの部屋っす。」
「それじゃあ、ユウキさんの場所を奪ってしまってるな。どうするかな……」
「僕が運ぶっすよ。」
「えっ?」
「だーかーらー、部屋まで運ぶっすよ。」
「いいのか!」
「はい!」
その返事通り、俺を軽くヒョイッと持ち上げ、部屋に送ってくれた。
「ありがとな。」
「おやすいごようっすよ!」
ニコニコと笑う四季は忠犬みたいだ。
……さて、この後どうするか。




