ごめん、アイラ
セレーナごめん。
そう思うのにセレーナをこの世から消そうとした。
あの時、アイラが来なければ本当に……。
駆けつけたアイラは額に汗をかき、真っ青な顔でセレーナの生死を確認し、フラフラと頭を揺らした。そんな状態でも助けにくるなんてやっぱり優しい子だ。
俺の名前を弱々しく呼び、セレーナの上に重なり倒れた。
俺はアイラがセレーナの上に倒れたから攻撃をやめたんだ……
乗っ取られているときは俺の意思では体を動かせない。けど強い思いが上回れば自分で乗っ取りを解除できる。
アイラへの思いが強かったんだ。
上に重なったアイラを背中に背負い、セレーナをお姫様抱っこをして運ぶ。二人とも体重が軽く心配になる。
セレーナは家に引き取ってもらった。
気絶しているセレーナをそっと車に乗せる。
俺というものがいながらどうしてこうなったんだと責められることはなく。
俺が悪いんですと言ったのに、こいつが悪いからと謝られたくらいだった。
セレーナのドリトルア家は、外面はいいもののセレーナの扱いが酷かった。
パーティの時だってその場にいたのに助けることをしなかった。家に行かせてもらった時も俺には優しい笑顔を向けるがセレーナには睨みをきかせていた。
それもわかった上で守りたいと思ったのに……
アイラは俺のベッドで介抱している。
真っ青な顔は変わらず、冷や汗をびっしょりかいていた。
「アイラ、ごめん。俺があんなことしたから。セレーナだって……」
"おい、何を言ってるんだ。お前が望んだことだろう"
「そ、それは違う。」
"兄弟想いって大変だな。俺がこいつを殺そうか?"
「それはやめて。」
アイラは両親が居ない。だから代わりに俺が守りたいんだ。
"へぇ、おもしれぇ"
「アイラ……」
服のボタンをゆっくりと外し上半身をはだけさせ、顔からタオルを当てた。
こんなに汗をかいて、苦しんで俺が変わってあげたい。
首元まで下がって来ると急に自分の手が意志とは関係なく動き出した。
「えっ、どうして」
"全部を動かすのは魔力が足りなくてお前に変わっちゃうけどな。一部だけだったらお前には止められないぜクックック。"
「こんな魔法っ……俺は嫌だよ……」
アイラの細い首に力がこもる手。
苦しむアイラを見て、心が締め付けられる。
「やめて!止めて!」
ガチャッ
「ユウキ兄さん!?何してるの。……アイラ死ぬよ」
「ナミキ!!俺の手をアイラから離して。お願い。」
「わかった。」
俺に近づきアイラの首を絞めている手を離した。
「がはっ、っゲホッ、ケホケホ、ぜぇ、はぁ、ヒューヒューヒュー、ユ、ウキ、さっ、」
「あ、アイラ。ごめん」
瞳から溢れる涙が止まらない。
「ごめん、アイラ、ごめんなさい……」
今すぐ抱きしめてあげたいのに怖くてその場から去った。




