過去編3
それぐらいの頃からセレーナが変わり出した。
今までの優しい性格とは真逆のわがままでいじわるな性格になった。
「あなた、私のユウキに近づかない でくれる。」
俺に近寄ってくる令嬢たちを突き飛ばし、しりもちをつかせ、にやりと笑うと俺の腕に飛びつく。この繰り返し。
みんな俺に近づいてこなくなった。
それに、最近では噂話をよく聞く。俺がかわいそうとか、婚約はセレーナが無理やりしたとか。
本当のことは一ミリもない。まったくのウソ話。
「セレーナ、そんなこと言わないで欲しいな。みんなお話をしたいだけだと思うよ。」
「だって、これは、あなたのためなんです。」
「ごめんね、それがわからないんだ。俺を好きでいてくれるのは嬉しいんだけど。」
「それだけは言えないです。ごめんなさい。」
その態度に出会った頃感じた、好意がなくなってきていた。
十六歳になると魔法学校に入学した。それと同時に寮生活になる。
そこでは魔法の危険性や正しい使い方。魔法について詳しく学べる。
俺の魔法は呪いだ。
もう魔法は使いたくない。消えてほしい……。
学校に入っても変わらずに、俺の周りに近づいてくる令嬢をいじめるばかり、婚約なんかしなければよかったと何度も思ってしまう。
「ユウキ様の近くに、来ないでください。ユウキ様が汚れるでしょう。」
「そんなことはないよ。ごめんね。君は素敵ですよ。」
相手のことを傷つけないように言葉を選ぶ。
こんな学園生活が4年も続くなんて正直辛い。
次の年にナミキが入学してきて、初めて先生意外と話せた。
声が少し低くなり、身長も少し高くなっていた。
久しぶり過ぎて、話が尽きなかった。
その次の年、キサラギも入学してきてその時同じ学年に国王の娘のサクラ・ユーマニアが入学してきた。
サクラ王女は他の令嬢と比べられないくらいに美しく気品があり、傍によることが難しい。
サクラ王女が通ろうとするとその廊下にいたものは左右による。
当たり前のことなのに毎回しっかりと会釈をして笑顔を見せる。
その行為に何人が恋に落ちたことだろうか。
俺もその一人であった。
セレーナから逃れようと人気がない中庭の花に水を上げているとサクラ王女が話しかけてくださった。
「キレイなお花ですね。」
「……。」
キレイなお顔が近くて言葉がでないかわりに心臓が激しく鼓動するのを感じる。
セレーナの時と同じ、一目見ただけで。
「どうなされました?」
「あの、お髪に花がついております。」
「ふふ、恥ずかしいところを見られてしまいましたね。すみません今取ります。ん?ん?」
サクラ王女は髪をわしゃわしゃしてふふっと笑ってみせた。
いつもの気品を感じない。でも、とてもかわいいと思った。
ボサボサになった髪を見る。あれだけわしゃわしゃしたのに取れていなかった。
「すみません。少し失礼します。」
震える手で髪から花を取るとまたふふっと笑った。
「ありがとうございます。」
軽くスカートを持ち上げ、会釈をすると足早にこの場を去った。
その横顔が赤く染っていたように見えたのは俺の勘違いかな。




