闇
「アイラ。用事済んだから、話をしよう」
少し緊張気味に声をかけると、すぐに返事が返ってきた。
「はい!お入りください。」
元気な声が聞こえ、ドアを開けると今度は起き上がって俺を出迎えてくれた。
そして、少し考えてからアイラが言った。
「ユウキさん、書けるものとペンってどこにありますか?」
「えっ、アイラは持ってないのか?」
予想を超えた質問に驚きを隠せない。
慌てて近くの家具の引き出しを開けるが中は何も入っておらず、役割を果たせていない。
どうして何も持っていないとか。どうして使ってないとかはアイラに怒ってるととらわれるかもしれない。
ここに来てから1年経つけど、まだ居心地が悪いのかもしれない。
ここは少しずつ、増やして貰うしかないな。
「ユウキさん、書けるものとペン。貰ってもよろしいですか?」
「もちろん、少し待ってて」
できるだけ優しい笑顔をアイラに向けた。
「はい」
静かにドアを閉めて自分の部屋に向かった。
俺の部屋は本が沢山あって、本棚が左右に広がっている。
真ん中にはデスクがあり、その上にいつも愛用している万年筆と白い紙。
俺は1人の空間が苦手だ。だから、大好きな本を読み自分でも書いている。
近くに置いてあるペンと白い紙を持って、アイラの部屋に向かった。
「アイラ、取ってきたぞ。はい」
「ありがとうございます。」
白い紙とペンを渡すと嬉しそうに受け取った。
「あの、兄弟についてなんですが。まず、ユウキさんのことをもっと知りたいです。ユウキさんはセレーナさんのことをどう思っているんですか?」
聞かれたくない質問。
今のセレーナは嫌いだ。
人を見下して楽しんでる。
どうしてああなったんだ。
「あの……」
トントン
急に肩を叩かれて、セレーナだと思い声を荒らげ手を叩き落とした。ここにいるはずもないのに。
「やめろ!」
「痛っ。」
痛いという声はアイラだった。ここはアイラの部屋で話があるから呼ばれてたんだ。理性が飛ぶほどの怒りを感じていたのはやはりセレーナのこと。セレーナへの好意はなくなったのだろうか。
直ぐにアイラの手を取り、優しく優しく撫でた。
「アイラ。ごめん。」
「いえ、俺が何か気に触ることを言ってしまったのが悪いので」
相変わらず気配りができる。俺が悪いのに、ほんとにいい子だ。
その後は約束通り、兄弟のことを話した。本人を目の前に言うのは恥ずかしかったけど伝えて良かったと思ってる。
俺は自分の部屋に戻り、ベッドに座る。ふーっと息をつくと、
《お前、兄弟に優しいんだな。》
脳内に直接話しかけてくる。第二の自分、気持ちが悪い。
《おい、俺を無視していいのか?》
……そうだな。周りの人達は兄弟想いって言ってくれる。
《そうだろうそうだろう。まぁ、それがいつまで続くかな。》
どういうことだ!俺の兄弟をどうする気だ。
《決まってるだろう。お前がセレーナをどうしたいのと同じだ。》
俺はそこまでセレーナのことは……
《嘘をつくな。》
俺の周りが黒いオーラに包まれる。
全身が焼けるように熱く、包まれている時は精神が沈んでいく。
「俺は、セレーナを殺したい。早く消し去りたい。この世から。」
「クックックッ、お前に入れてよかったよ。前のやつも美味しかったが今回はもっと美味しいだろう。」




