全ての始まり
「どうぞどうぞ」
玄関のドアが開かれ中に土足で入ると、ココノと同じように目の下にくまを飼っていた。顔色は悪く、唇から血が出るほど噛んでいた。
ここの家庭は随分美味しそうだな。
「ユウキ様!」
「ユウキ様なんですか?」
「ユウキ様、こんなところに来て下さりありがとうございます。」
3人は俺を見るや否や床にめり込むほど深い土下座をする。
これ程の権力を持っているのかユウキは、面白い。
「お前ら、顔を上げろ。そして俺に精神を差し出せ。そしたら、大金を渡してやろう。この家庭は貧乏なんだろ?」
「は、はい。こんな私たちにお金を恵んでくださるのですか。」
「ああ、少し黙っていればすぐにな。」
「ほら、ココノお前もこっちに来い。なんでそんなとこにいる。勝手に外に出たな。」
「今、そんなこと言ってもいいの?」
「何でだ」
「ユウキ様がせっかくお金あげるって言ってるのに、その気がなくなるんじゃない。」
「そ、そんなこと。お前もいればもっと貰えるだろ。」
「こいつはいい。早く静かにしろ。」
「は、はい。」
うーん、さっぱりとしているがなかなか美味だ。力がみなぎってくる。
「あっ、あー」
「ふぅ、えへー」
「あぶぶー」
3人はその場に倒れ、視点がどこかにイってしまってる。
言葉もまともに喋れなくなったようでずっと、口に空気を溜めたり、吐き出してブーッと音を出してはケラケラ笑う。
本当に壊れて閉まったんだ。そう思わせるには十分な光景だった。
ココノは体を震わせ、俺と目を合わせる度に視線を左右に動かし、まぶたがピクピク痙攣してる。
恐怖の匂いだ。
今この場ではお前がいちばん美味しそうだ。
だが、2つ目の選択肢を選んだからな。
見逃してやる。
「それじゃあな。このことは誰にも言うなよ。これから世界がこう変わるがな。ククッ」
「……私もその世界を望む。手伝ってもいい?」
「好きにしろ」
ココノは変なやつだな。
まぁ、扱いやすいやつがそばにいた方が使えるからな。裏切ったら食えばいい。
この世界は絶望に埋めつくされ、我に力を与える。世界を闇に染め上げ、全ては俺のために……
くるっと回転してココノの家を飛び出る。
その後をひょろひょろの体で追いかけてくる。
ククッ、絶望は全ての始まりだ。
その日、昼なのに空が夜のように暗くなった。星も月もない闇。
あるのは家の光のみ。
人々は、暴れ回ったり、光を求めたり、その場に留まることができなかったり、目を閉じ耳を塞いで怖がっている。
これから……これからだ。




