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教えられないもの

「えっ?」


 突然の言葉に戸惑いが勝つ。

 単に、俺がアオイに手を差し伸べたから懐いてるだけだと思っていた。

 だけど、今のアオイの言葉はこ、告白、だよな……。


 耳まで赤く染め、俺を見据えるアオイは少し震えている。

 緊張してるのか。この言葉を言うことがかなり勇気がいるのかもしれない。


「……これがなんなのか、分からないんだ。教えてくれ。お前は俺と一緒に勉強するんだろ。俺に教えてくれ。」


「そ、そう言われてもな。」


 突然過ぎて、説明ができない。俺、恋愛に詳しくないんだよ。こういう話題は、ゆき氏の方が得意だ。


「アイラ……」


 ベッドから立ち上がり、1歩、また1歩と近づいてくる。目は少しばかり潤い。

 今にも泣き出しそうな表情。


「俺は、……詳しくはない。けど、多分それは好意を抱いてるんじゃないか。」


「好意?それはなに?」


「親とか友達の子とどう思う?」


「え、……なんだろう。」


 今までの大人びた態度とは違い。

 子どものなぜなぜ期みたいだ。


「好きじゃないか?」


「……確かに、好きだ。でも、その好きとは違う気がする。」


「……」


 口には出さず、頭の中で悩む。

 これはやはり、俺に恋しているのか。


「そうか。……それは大人になったら分かるかもな。」


「はぁ?教えるんじゃねーのかよ。」


「とりあえず、それは自分でわかった方がいいと思うぞ。」


 さすがに、少し照れるがアオイを恋愛対象には見れない。


「ご飯持ってくるからここで待ってろよ。」


 それだけ言い残して、部屋から出ていった。

 好かれるのは嬉しいけど、俺はどうしたらいいか分からない。


 そばにいて辛くなるかもしれない。

 俺は、好きだった人のそばにいるだけで充分だと思ったけど好きな人が出来たりしたら辛い。

 いつまでもここに居るわけはないだろう。


 一生はない。

 だから、アオイが生きられる環境と知識を今のうちに身につけて貰わないとな。


「はぁ」


「……が……い。俺が……」


 ぶつぶつと1点を見つめながら親指の爪を噛み歩くユウキさんとすれ違った。


 俺の事など目に入らないほど、何かに怯えそして苛立っている。


 声をかけようにも、なんて言えばいいのか分からない。


「ククックククッ」


 不気味な笑い声と共に消えてしまった。


 この時は分からなかった。

 あんな事態を招くことになることは……

 

 


 

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