03話 仮面の集団
「……はぁ~…ダルいな」
夜、明日に備え早めに寝ていた俺は、感知に何かの反応があったため起きて、壁に立てかけていた大鎌を持った。
襲撃者の人数は…11人くらいか?
襲撃者の人数を把握していると、いきなり部屋のドアがぶち破られ、ゾロゾロと仮面集団が部屋に入って来た。
今なら某アニメの大泥棒らの気持ちが分かりそうだな…
そんなふざけたことを思っていると、
「捕らえろ!!」
仮面をつけたリーダーらしき大柄な男が他の連中に命令し、命令を受けた奴らの内、四人の者達が俺を取り押さえようと、襲い掛かってきた。
「大人しく捕まれガキ!!」
捕まるわけがないだろ?
そう思いながら俺は、大鎌を狭い部屋の中で大きく降った。
部屋が狭いせいで逃げ道が少なかったため、襲って来た奴らを一瞬で薙ぎ払い壁に叩きつけた。
さて、このまま下がってくれたら嬉しいのだが…
「ちっ…怯むな!全員で掛れ!!」
思っていた通り、仮面集団は引き下がることなく、俺に襲い掛かって来た。
やられることはないが、部屋が狭いのと人数が多いせいで戦いずらい。
もうこの際、まともに戦わずに、連中のアジトに突撃するか…
予定を変えて今すぐ仮面集団のアジトに突入することを決めた俺は、自身の前に小さな魔方陣を作り出した。
「閃光!」
俺がそう言うと魔方陣から小さな球が出てきて、球は眩い光を放った。
「目眩ましかっ!」
光魔法で作った眩い光を俺と距離が近かった仮面集団の者達に直視させ、目を眩ませたスキに、俺は窓を開けてそこから外に出て路地裏に降り立った。
「クソガキがぁ!全員追え!!」
大柄な男の声が部屋から聞こえて来たなっと思っていたら、感知で俺のように数人の者達が、窓から外に飛び出たのが分かった。
相手をしてもいいのだが、その間に目を眩ましているが追いついてきたら面倒なため、無視して俺は仮面集団のアジトへと走った。
────────────
感知を再び発動させ、俺は着いて来ている者達の様子を見た。
なるほどな…今、俺に着いて来ているのは目を眩ませていたれ奴ら四人だけか…
先に俺を追っていた奴らは、それぞれが何かしらのせいでリタイアしている。
バテて追うのを諦めたり、見回り中だった兵士に見つかったり、シンプルに道に迷ったりしていた。
追いついてくるにはまだ時間があると判断し、俺は紙で場所を確認しながら古びた武器屋を探し出した。
古びた武器屋を見つけ、紙に書いてある通りにその下にあるバーへと向かい、鍵がかかっていた扉を大鎌で切り裂いてこじ開けた。
「よいしょ…っと」
バーに入った俺は、地面に触れて地魔法で地形を操り、出入口を盛り上がらせた地面で塞いだ。
これなら多少の時間が稼ぎができるだろう…さてさて、王女様はどこに居るかな?
俺はバーの中で感知を発動させ、怪しいとこがないか調べた。
発動してすぐに、怪しい場所を見つけることができた。
酒が置いてある棚の裏にどうやら隠し通路があるらしい。
「退かす時間なんて無いし…ここは風斬撃」
中級の風魔法風斬撃で、風の斬撃を連続で飛ばし、音を立てながら棚を細切れにした。
残骸の山をまたいで、俺は隠し通路を武器を構えながら進んだ。
────────────
隠し通路の階段を下っていると、信じられない程広く檻が沢山置かれている部屋に出た。
恐らく地魔法で広げたのだろうが…これだけの広さなら相当な時間と魔力を消費しただろうな…
感知で檻を見てみると、檻のの方で泣いている子や目に光がない子が居るのが分かり、俺は仮面集団に対して怒りが湧いてきた。
だが、俺はじいちゃんがいつも言っていた「平常心を常に保ち、冷静で居ろ」と言う言葉を思い出し、怒りを押し堪える。
気持ちを落ち着かせていると、コツコツっと複数足音が聞こえてきて、俺は咄嗟に荷物の後ろに隠れ様子を伺った。
「ったく、ユウラ様も釣れないよなぁ~」
「まぁ仕方ねぇよ…誰か残って居なかったら脱走された時困るからな…」
二人の恐らく見張り役だろう男達がこっちに歩いてきた。
奇襲してもよいが、もう少し潜伏して様子を伺うか…
「というかさ、前に攫った王女様…綺麗だからさ、少しは手を出してもいいんじゃねぇ?」
「馬鹿か?王女様みたいな子供は手を出したら価値が大きく下がる…だから絶対手を出すなとユウラ様が言っていただろ!?」
「ちぇ…死にたくねぇから仕方ないか…」
男達の会話から王女様がここに居ることと、無傷だということが分かった。
王女様の情報を教えてくれた男達に、俺は礼として背後から怪我しないように奇襲した。
「がっ!」
「何者d!」
一人は大鎌を持っていたない手を手刀にして首に当て気絶させ、もう一人は大鎌の鎌の側面で思いっきり頭を叩いて気絶させた。
男達を近くにあった空箱に押し込めた後、感知を使って王女様の居場所を探すことにした。
本当は檻に入れられている子達も助け出したいのだが…ひとまず王女様が入れられている檻を探すのを優先することにし、部屋の奥へと歩み進めた。