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魔物狩り始めました  作者: 焼飯学生
王都来訪編
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02話 国王の依頼

不味い、非常に不味いことになった。何が不味いって?

なんとこの俺、この国でお尋ね者になったよ!やったね!!

そのせいで朝から兵士が宿に来て王室に連行され、今国王の前に正座されている。

もしかして俺が昨日しばき倒した男の件のことか?


「お主か?昨日上級の水魔法を無詠唱で放ち男を倒した黒の魔物狩りというのは?」


はい、昨日の件ですね。

もしあの男が王族とかの関係者なら、俺確実に処されるね。

最悪死刑ですね…もうこの際正直に話すか…


「そうですが…何か不味かったですか?」

「いや何も不味くないぞ、あの男は先日我が城で盗みを働き、指名手配中だったのだ…それなりの強さがあって中々捕まれられなくてのぅ…我も困っておったんじゃ」


どうやらただの犯罪者だったらしい。

国王の言葉に安心しつつ、一つの疑問が俺の中で生まれた。

じゃあ、なんで俺呼ばれたんだ?


「あの…それならなんで俺は呼ばれたのでしょうか?」


疑問に思っていたことを国王に伝える。

すると国王はゆっくりと玉座から立ち上がり、顔を下に向けて話し始めた。


「実は…お主の実力を見越して頼み事がある…!」


すると国王は、王としてあるまじき行為に出た。


「先日、我が娘が何者かによって誘拐された!報酬ならお主の好きなようにしてよい!だから、どうか我が娘を探し出し、助けてくれんか!?この通りじゃ!!」


そう言いながら国王はただの魔物狩りである俺に首を垂れて依頼してきた。

国王を見た大臣だと思われる人や護衛の兵士達は「頭を上げてください」など言って、国王に頭を上げるように促すが、国王はずっと俺に向けて首を垂れたままだ。

そんな娘思いの国王を見た俺は、国王の娘、王女を助けることを決意した。

ついでに旅をするために必要な資金の提供と、魔物の情報を貰い続けるのを約束してもらおう!

クククッ…おっと危ない危ない、悪魔みたいな表情になるところだった。


「王様…分かりました。その依頼是非お受け致しましょう」

「っ!頼んだぞ…黒の魔物狩り…!」


俺が依頼を引き受けると、国王は首を垂れたまま泣き始めた。

相当嬉しかったのだろうな…


────────────


「さてと、どうしたものか…」


泣いてしまった国王の代わりに、大臣から詳細を聞いた俺は城を後にして、城下町を歩いていた。

王女は今から四日前の晩に、仮面を付けた謎の集団に攫われたとのこと。

普段なら護衛が数名居るらしいのだが、王女が攫われる少し前、昨日俺が捕まえたあの男が盗みに入っていたため、護衛と巡回している兵士達の数が減っていたらしく、護衛や警備が手薄になっている間に誘拐されたそうだ。

その次の日に仮面集団から身代金を請求されたのだが、その金額が国が傾くレベルだったらしい。

払いたいが、身代金のせいで国民を苦しめてしまう…板挟みになっていた時、俺の噂を聞き助け出してもらうことにしたそうだ。

以上が、俺が大臣から聞いた事件の詳細。

だが、これだけだと仮面の集団を見つけるのは無理がある。

取り敢えず朝から何も食べていなかったので、朝食兼昼食を済ませるため、俺は近くの飯屋に入ることにした。

俺は店に入ってはカウンターに座り、メニューを見た。

何もなかったらメニューをじっくりと見た後、食べてみた物を注文するのだが、今回は早く情報を集め助けたいため、偶々視界に入ったミートパスタを食べることにした。

料理が来るまで大人しく待っていると


「お、兄ちゃんも飲むか?」


俺の隣で酒を飲んでいたおっさんに絡まれた。


「あっ、飲めないので結構です!」


満面の笑みを浮かべ、俺はおっさんの誘いを断った。


「まぁまぁ飲んでみ美味しいから…な?」


そう言い、おっさんは自分が飲んでいたジョッキを俺に近づけてきた。

うぜぇ…

満面を笑みを浮かべながら、おっさんのしつこさに腹を立てる。


「いや、これから情報収集したいので結構です」


これ以上絡んでくるのやめてくれという思いを込め、俺はおっさんの誘いを理由を付けてもう一度断った。


「なら仕方ねぇなぁ…」


理由を述べたことでようやくおっさんは諦めてくれた。


「ちなみだが、何の情報を集めているんだ?」


ジョッキをカウンターに置いて、おっさんは何の情報を集めているのか聞いてきた。

余り教えたくないが、またうざ絡みをされてもめんどくさいので、ここは正直に言うとしよう。


「…王女を誘拐した仮面集団の情報ですよ」


集めたい情報を言いながら、運ばれてきたミートパスタを俺は早速食べ始めた。


「あ~…王女を攫った事件のやつか…ソイツらなら知ってるぞ?」


何かを思い出したおっさんの口からのとんでもない爆弾発言を聞き、俺はミートパスタを食べるのを止めた。


「そ、その情報を詳しく教えてくれ!」

「いいぜぇ…これから王女を助けに行く英雄の手助けになるならな!」


おっさんが知っている情報に俺は食いつき、おっさんは何故か俺を英雄扱いしてきたがそれを無視して話を聞くことにした。


「あれはそうだな…一週間程前だったか?変な仮面をつけた奴らが俺の前に来て、リーダーと思われる大柄な男にこう言われたんだよ『王女を誘拐したいんだ…もし協力してくれるのならお前に大金をやろう、来るならここまで来い』ってな、まぁ俺は興味がないから行ってないが…その時に渡されたこれは英雄様の役に立つだろうぜ」


知っていることを話したおっさんは、ポケットからクシャクシャになった紙を取り出し俺に渡してきた。


「恐らく連中のアジトの場所が書かれた紙だ…俺には必要ねぇから英雄様にやるぜ…んじゃあ俺はこれから深夜までハシゴすっからまたな!今度あった時は一緒に飲もうな、兄ちゃん…」


おっさんは勝手に飲む約束をして、代金をカウンターに置いて店を出て行った。

今すぐ紙を見たいが、紙を見ている所を仮面集団の仲間に見られたら不味いと思った俺は、一度宿に戻ってから見ることにした。

思わぬ収穫に満足し、俺はミートパスタを食べ代金を払って店を出て、寄り道をすることなく宿へ帰った。


「ただいま…っと」


おっさんから貰った紙を見ながら部屋の椅子に座った。

紙にはなぐり書きで、ラミスタラ王国の東地区にある古びた武器屋の地下へ来いと書かれていた。

恐らく連中や王女様はここに居るのだろう。

明日の早朝、襲撃してやるか

早朝に襲撃することに決めた俺はその紙を懐に入れた後、晩飯と朝食を買いに近くの店に向かうことにした。


────────────


ラミスタラ王国の東地区にある古びた武器屋の下にある店にて、とある集団が集まって居た。

この店は普通のバーだったのだが、今では集団のアジトに変わり果てていた。


「何?売ったら高く付きそうなガキを見つけたぁ?」


酒瓶ごと酒を飲んでいる大柄な男は、少し不機嫌そうに話しかけてきた部下に聞き直した。


「は、はい…何でも上級魔法を無詠唱で使えるガキのようで…実際囮として雇った奴を上級の水魔法を無詠唱で放ち倒したみたいです」


それを聞き男は少し考えた後、ニカッと笑みを浮かべ、その部下に質問をした。


「勿論、そのガキの居場所は分かるんだよなぁ?」


男の質問に、部下は悪い笑みを浮かべて答えた。


「えぇ、勿論…どうやら今は一人で宿に泊まっているようです…ユウラ様」


部下から獲物の居場所を聞いたユウラと呼ばれた男は、酒瓶をドンッと音を立ててカウンターに置き、大きな声で部下達に命令を下した。


「野郎共!王女(・・)の埋め合わせになるガキを見つけた!ソイツを捕まえて上手く売り飛ばして、その金で飲み明かそうじゃねぇか!」

オオォーーーーーーーー!!!!


部下達が盛り上がる中、子攫いの大男(・・・・・・)の異名を持つユウラは酒が入っている棚の方をチラっと見た後、老いてにあった鉄の仮面をつけたながら笑った。

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