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魔物狩り始めました  作者: 焼飯学生
序章 旅立ち編
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魔物狩り始めました

十数年前、地球とは全く別の世界で魔王ラムカが世界征服を始めた。それに対抗するために世界の創造神である女神ラミレナが、別世界から異世界人を呼び出そうとした時、魔王に異世界召喚の邪魔をされ、それによって召喚は失敗。その影響で東京のとある高校のクラスが、異世界召喚の失敗によって爆発を引き起こした。その爆発により教師生徒合わせて31名の命を奪った。魔王は勇者の孫によって倒されたが、異世界召喚の失敗で死んでしまった者達に対して、女神ラミレナは詫びとして自分の世界に31名の魂全てをを転生させた。


────────────────────────


転生する少し前の3年3組


「起立!気をつけ!礼!」


委員長の号令で皆は教卓に居る先生に礼をし座る。そして俺は座って机にうつ伏せ寝始めた。いつも先生はこの時間雑談をするので、俺は授業が始まるまで寝ることにしている。

と言っても、あと数か月で卒業なのでこんな生活は時期に終わるだろうな…

この時の俺はそう思っていた。


「何だこれ…? 床に魔法陣みたいなのが…」


一人の男子生徒が先程までなかった魔法陣のような物が現れていることに気づいた。

俺や他のクラスメイトも床を見てみた。

男子生徒の言葉通り魔法陣のような物が現れていて、魔法陣のようなものは教室全体に円状に広がっており、円の内側には複雑な模様が見えた。

…なんだ?…この魔法陣は…?

俺は魔法陣をマジマジと見ながら、魔法陣の正体を考えていたその時だった、魔法陣に書かれていた複雑な模様が崩れ、一瞬で光が教室内を包んだ。

そして、声を上げる前に魔法陣が大爆発を起こし、俺らは全員魔法陣の爆発に巻き込まれた。


────────────────────────


うあぁぁぁぁ!!

爆発に巻き込まれた俺は、悲鳴を上げた。

だが、俺が聞こえたのは自分の悲鳴や周りの悲鳴ではなく、赤ん坊の泣き声だった。


「*********************」


聞いたことのない言語が聞こえて来たと思ったら、俺は少し老け顔の老人に持ち上げられた。

あれ?俺そんなに軽かったけ?

身体に違和感を感じたので、俺は手を前に伸ばしてみた。


「う?」


手が小さくなっており体を見ると赤ん坊になっていた。

その時、俺は色々と理解した。

どうやら俺、神影 良(かみかげ りょう)はあの爆発により、最近流行りの異世界転生をしてしまったらしい…


────────────────────────


「ほ〜れラムト、おねんねの時間じゃよ~」


この世界に転生して一年ほど経った。

言葉を理解できるようになった俺は今、この世界での祖父ラムラ・ベムラートに抱っこでベットまで移動させられ、寝かさせている。

どうやらこの世界での俺の名前はラムト・ベムラートと言うらしい。

悲しそうな顔をしているラムラは置いといて、この世界に来て分かったことが五つある。

一つ目は魔物がアホほど居ること。

え?異世界だから魔物が居るのは当たり前?舐めんな!!この世界は人類の倍以上の魔物が居るんだぞ!!実際、昨晩にもゴブリンの集団が襲ってきたし…まぁラムラが大鎌で全て仕留めたけどね。

二つ目、アホほど居る魔物を倒すため魔物狩りと言う魔物を狩る人が居ること。

まぁ簡単に言えば討伐だけの冒険者みたいな感じ。それと薄々気がついていると思うけど、どうやらラムラも魔物狩りらしい。まあゴブリンの集団を1人で蹴散らしてたら誰でも分かる…はず…

三つ目、この世界には女神ラミレナと言うお偉い神が居て、そいつによってこの世界作られたこと。

もちろん、異世界とは言えばの魔王も居たみたいだけど…つい最近、倒されたらしい。

四つ目、この前分かったことだけど、どうやら俺のスキルは強奪(キャプチャー)と言うスキルらしい。

これが分かったのはラムラの賢者(ワイズマン)と言う鑑定系スキルで判明した。

強奪のスキル効果はこちら


強奪(キャプチャー)】:殺した相手のスキルなどを奪う事ができる。


はい、チート。うんチート。誰がどう見てもチート。クソチート。

正直見た時ホンマにビビったわ…いや本当に。

まぁこのことはさておき次に行こう。

最後は三大魔神獣(・・・・・)と言うチート級の魔物が居るとのこと。

三大魔神獣は、魔神獣と言う魔物が3体居るのでは無く、魔獣2体と神獣1体が居るから3体合わせて魔神獣と呼ぶらしい。

あっ、何故、まだ産まれて1年ほどしか経ってない赤ん坊が知っているかと言うと、全てラムラの入れ知恵です。これが本当にウザくて、寝る前になると毎度毎度言ってくるので、自然に覚えてしまった。

まあ…一人で俺を懸命に育ててくれる、ラムラには頭が上がらないけどね。

只今絵本代わりにラムラの本当か嘘か分からない昔話を聞かされるのは少し嫌だけど…


「〜で、儂は大鎌で大きな渓谷を作ってしまったんじゃよ〜」


前言撤回、嘘話だった。

少々呆れながら話を聞いていたら突然、ラムラが苦しみ始めた。


「あうあ?!」


大丈夫かと声をかけても上手く喋れない。

それなのに、俺の言葉が分かったようにラムラは苦笑しながら


「大丈夫、大丈夫じゃ…ほれ、もう夜遅いし寝ようか…」


と言い枕元にあったロウソクの火を消した。

誰のせいで遅くなったんだよと言いたかったが、伝わらないと判断して言わなかった。


────────────────────────


時は経ち14年後


「ぐへっ!」


家の前の開けた場所で、俺はラムラに弾き飛ばされた。


「どうした?ラムト、終わりか?」


完全に老け顔になったラムラは、ただの木の棒を指で回転させている。

クッソ~~~なんでこうなるんだよ。こっち大鎌だぞ!ラムラの!!


「来ないならこっちから行くぞ〜」

「ちょっくrドォン!


ラムラに一瞬で間を詰められた俺はまた思いっきり吹き飛ばされた。

ねぇこれ家庭内暴力じゃない!!!?だってギリギリ見えなかったけど軽く四連続で打たれたよ!!しかもかれこれ数時間俺吹き飛ばされているよ!?赤ん坊の時した心配返せよ!!

だが、この地獄は夜になるまで続いた。


────────────


「あ~…酷い目にあった…」


あっちこっちに包帯を巻いている俺は自部屋の布団に飛び込んだ。

明日もあの地獄がまた朝から晩まであると考えると正直ゾッとする。

まぁ、あの地獄のおかげでスキルが増えたのと魔法を覚えられた。

あの地獄で得たスキルはこちら


強奪(キャプチャー)】:殺した相手のスキルなどを奪える事ができる。

解析(アナライズ)】:解析ができる範囲で解析対象の情報を知る事ができる。

【感知】:死角を視えるようにする事ができる。

【苦痛耐性】:苦しみや痛みを少しだけ和らげる事ができる。


続いて覚え(させられ)た魔法は、こちら


火魔法 初級 中級 上級

水魔法 初級 中級 上級

草魔法 初級 中級 上級

風魔法 初級 中級 上級

雷魔法 初級 中級 上級

地魔法 初級 中級 上級

光魔法 初級 中級 上級

闇魔法 初級 中級 上級

回復魔法

空間魔法

神聖魔法

深淵魔法


スキルは便利なのが獲れたが、魔法に関してはほぼほぼオールしてしまった。改めて見て俺14年で結構強くなったな。

今なら世界最強って宣言しても良くない?

そう思いつつ、俺はベットで寝始めた。


────────────────────────


【2年後】


「おらぁ!!」

「むっ!?」


今までの恨みを込めた斬撃で俺はラムラを吹き飛ばした。


「強くなったもんよ…ラムト」

「もしかして、じいちゃんを超えたんじゃない?」

「…かもしれんな……」


ラムラのその言葉を聞いて俺は驚いた。

普段なら調子に乗るなって言いながらげんこつを食らわせて来たのに…絶対何か企んでるな!!


「…今日はもうこの辺にしようか……」


ラムラの言葉で空を見るといつの間にか薄暗くなっていた。

今日はいつもより早いなと、思いながら俺が家に戻ろうとしていたら、夕日に黄昏れているラムラが


「この世界とは今日でお別れか…」


と、呟いていたが俺は気にせず家に戻った。

そして夕日が完全に沈んだ後、ラムラが戻って来た。

いつも通り俺が晩飯を作ろうとすると、今日は儂が作るとラムラが言って来て、夕食を作り始めた。

別にラムラの料理がまずいって言うわけではないが、なんか怪しい…

俺はラムラを怪しみながらできた料理を食べ始めた。


────────────────────────


「ラムト………おやすみ…」

「おやすみ〜」


何かを言いかけたラムラだったが、結局何も言わず、寝る前の挨拶だけ言ったので、俺は返事をして自部屋の布団に飛び込みそのまま寝始めた。


『ラムラ・ベムラートのスキル、【譲渡(トランスファー)】によりスキルと耐性を譲渡されました。譲渡により【統合】 【思考加速】【火耐性】を獲得しました。』


どこからか機械みたいな声が俺に告げて来たが、俺は夢と判断しそのまま眠った。


────────────────────────


【翌朝】


遅い、遅すぎる。いつもなら俺より早く起きるラムラが、昼頃になっても起きてこない…

流石に起こしに行くか…特訓サボりたいな…

そんな事を思いながらラムラの部屋に入ると違和感を感じた。

……まさ、か…な…?

一瞬あることを思ったが、すぐに否定してラムラに近づいた。

起こすためにラムラの布団をめくると異様に冷たかった。

震える手で、ラムラの顔を触ると氷のように冷たかった。


その時気づいた。ラムラは俺が自分を超えるまで、苦しのにずっと我慢していたことに。


「じいちゃん…ごめん、な…さい……ごめんなさい…ごめんなさい…」


涙を流して謝ってもラムラから返事はない。

それでも俺は涙を流しながら謝った。


────────────────────────


昨日、一日中ずっと泣き続けた俺は大鎌とある程度の荷物を持って家の傍に作った簡易な墓の前に居た。

墓はラムラ…いや俺のじいちゃんの墓だ。


「じいちゃん…育ててくれてありがとう…俺はじいちゃんを超えるために…魔物狩りとして世界最強を目指すから…それまで、少し待ってくれ…」


そうラムラの墓の前で俺は誓い、少し流れた涙を拭きとっては、墓と家に背を向け歩き出した。

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