表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/19

n回目の果てに

遅くなってごめんなさい。今までのも見直して本筋は変わらないよう少しだけ直してました。

そして俺は、また5歳に戻った。


今度こそは、誰にも殺されずに自分の人生を謳歌するぞという決意を抱いて。








そして、また殺されて5歳に戻った。





けど、俺は諦めなかった。

何故殺されたのか反省点を出し、少しでも改善しようとした。




そして、また殺されて5歳に戻った。



何度も殺されて、何度も5歳に戻った。



何度も。

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も殺されて、その度に5歳に戻った。



剣で切られて死んだ。魔法で焼かれた。地面から出てきた槍に貫かれて死んだ。氷で全身を凍らされた。闇の球で撃ち抜かれた。光の剣に焼き切られた。上から降ってきた火球に焼かれた。水によって溺死した。土の塊で圧死した。仲間と思っていた人に毒殺された。電気によってショック死した。絞殺された。撲殺された。獄死した。焼死した。悶え死んだ。転落死した。爆死した。凍死した。


この何度も続く人生の中で、仲間に裏切られ、好きだった人騙され、相手には裏をかかれ、親友には利用され、何度も囮にされ、ただの町人にもバカにされ、社交界の笑い者にされ、見下され、同情され、哀れまれ、憐れまれた。


グレイ・ハウスダットという人間の欠点をこれでもかと突きつけられた。





俺はもう、どうすればいいのか分からない。

もはや何も分からない。やはり俺みたいな奴は生きていてはいけないのだろうか。




そうして、また何度も死んでいった。死んでいくたびに、心の一部が削れていっている気がした。

そうやって身も心も削られていくなかで、俺はついに成功した。




今回で初めて、誰にも殺されることなくアドミラ学園を卒業出来たのだ。


主人公達から逃げて、逃げて逃げて逃げて。

一切の興味を持たれないように。その視界に入らないように。隅っこで、陰でひっそりと過ごした。モブの極みとも言える。

適度に笑い、適度にふざけ、適度に真面目に。その行動に何一つ違和感を持たれないように全力で気を張った。

ただの一瞬も油断しないように。だってその油断一つで俺の首は飛ぶのだから。


その結果の代償として不眠症みたくなったり、愛想笑いのしすぎで自分が以前どう笑っていたのか分からなくなったりしたが、まぁ誤差と言っていいレベルだろう。

そうして、俺は死ぬことなく卒業することができた。



これまでの人生の集大成。何度も試行錯誤し、諦めずに頑張った成果がやっとでたのだ。




その時の俺の気持ちを想像してほしい。もう本当に涙が止まらなかった。

嬉しかった。今までの努力が、何度も死んだ自分が、ついに報われた気がして。人目も憚らず大号泣してしまった。



苦しかったのだ。辛かったのだ。諦めて死ぬことすら許されず、有るのかどうかも分からない理想を求めてがむしゃらに頑張るのは。



周囲の奴は俺が卒業することに対して泣いていると思って優しくしてくれた。



やっと、前に向けて一歩踏み出せるような気がした。

これからは、本当に俺の人生を、シナリオに依らない自分だけの人生がおくれるのだ。



こうして、俺は死ぬことなくアドミラ学園を卒業したのだった。


















3日後。


俺の目の前には火に包まれる街と、武器を持って王城や、高位貴族の家に押し掛ける群衆の姿があった。



そこかしこから悲鳴が聞こえる。苦しみの声も。人が、肉が焼けるひどい匂いがする。




ああ、まさしく此処は、この世の地獄だった

ブクマや評価待ってます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ