表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/19

森にて


アドミラ学園に入学した俺はとにかく目立たないことにした。

といってもこの国の四大公爵家の長男、周囲からすれば次期当主なのだから目立つのは避けられないが。



そして、俺は出会ってしまった!

一目見てわかった。あの人が俺の運命の人なのだと!





まぁ主人公のことなんだが。

名前はターライトというらしい。貴族でも何でもない平民だから名字はない。

前世のゲーム画面で何度も見た、キラッキラの金髪、180はある高い身長、もう見ただけで女子を虜にしそうな笑顔。

彼がこの世界を救う主人公であることは、何度も画面で見たえぐいほどのイケメンなのですぐに分かった。



というか、同じクラスである。

ついでに言うと、ファティアとカトリーナも同じクラスだ。

ラノアとカレンは隣のクラス、テルーナ王国の第2王女様は1学年上なことしか分からない。

あっ、第2王女様は生徒会の会長だったな。




そんなこんなで始まった学園生活。出来れば何事もなく穏やかに過ごしたいところだが、早速問題が発生した。

まぁ発生して当然の問題だが。



ここアドミラ学園は世界トップクラスな学校ゆえに、通う人間は大半が貴族で、その他も大商人の息子や娘だ。

そんな中で、数少ない平民であるターライト君はおもいっきり周囲から浮いていた。



こう、明確にいじめているわけではないのだが、入学して約1ヶ月、彼が業務連絡以外で人と話しているのを見たことがない。



他の生徒もターライトをどう扱ったらいいのかよく分からないのだ。


もちろんゲームでも同じ状態だった。

ゲームでは更に俺の嫌がらせが加わっていたのでもっとひどかったが。

しかし、この段階での嫌がらせはそこまで酷いものではなかったのだ。俺がターライトに話かけず、空気のように扱っていたので、周囲が勝手に空気を読んでターライトに話しかけなくなっていたくらいだったのだ。




大事なのはここからだ。入学してから1ヶ月。この時期には、入学生の実力をはかるために学園近くの森で野外研修がある。

といっても大したことものではなく、森の中にある特定の植物を4人班で採取するというものだ。

この特定の植物は被らないように全班違うものが指定される。

この授業、学園側としてはコミュニケーション力や、植物の採取スピード、手際の良さや危機管理などの項目を一気に判断できる。

学園側としては便利だろう。俺としては少し怖いが。



この森の中には弱いとは言え、魔獣も存在するのだ。しかもこの森、完全に人の手が入っているわけではなく、入口付近の魔獣は弱いがもっとずっと奥のほうに行くと何がいるか分からない。

まぁ、学園側にいわせると、敵がいることで適度な緊張感が芽生え、またもし出会ってしまったときはその対応が見られるから大した問題ではないらしい。

当然のことだが緊急用の魔道具が各班に1個づつ支給されている。

発動すると、即座に学園側に位置情報を送ると同時に、上空へ赤い狼煙をあげ、更には結構頑丈な結界を張るものだ。


ちなみに値段はバカみたいに高い。めっさ高い。

だが、アドミラ学園に通うのはほとんど貴族で残りも大商人だ。

つまり、めっちゃお金があるのだ。

アドミラ学園にとっては大した出費ではない。

それに使わなかったら来年に回せるし。



そして、この授業で初めて他のクラスと合同で授業を受けることになる。つまり主人公ことターライトと隣のクラスにいた2人のヒロインが初めて出会うのだ。

4人班にならないといけないこの授業。だがターライトは友達がいない。そこで、ヒロイン達の出番だ。

まず、脳筋カレンが王女に認められたターライトの才能に興味があり、ラノアを誘ってターライトと組もうとするのだ。

ラノアも友達が居らず1人でぽつんとしているターライトに同情し、更にラノアの友達を呼んでターライト、ラノア、カレン、ラノアの友達の4人で班を組む。

本来は四大公爵家の2人がたかが平民と同じ班になることに周囲は反対するのだが、平民とは言ってもこの国の王女の肝いり。しかも公爵家の2人が自ら望んで一緒にいるのだ。反対意見はいいづらい。


まぁなかには早速ターライトの顔にノックアウトされたご令嬢様方がそのあまりの顔の輝きに何も言えなくなったという部分もある。







そして最後、この授業ではドラゴンが出てくる。もちろん学園側が用意したものではない。

この森に以前から住み着いていた天然物のドラゴンだ。

だが、普段のドラゴンなら森の奥から出てこない。では何故出てくるのか。

理由は簡単、グレイだ。



ゲーム内でのグレイはこの授業で、主人公がラノアとカレンと同じ班を組むことが気に入らず、課題となった植物を取った後ももっと凄い植物を手に入れるため、何も考えずに森の奥へ入っていくのだ。



そして出会うはドラゴンさん。ドラゴンさんは森の入口で何かヤバい奴がいること感じており、少し様子をみるためいつもより森の入口側に寄っていたのだ。ドラゴンさんからすれば、自分の家の入口にヤバい奴がいるのを感じとり、ピリピリしていた。


ちょうどそこにグレイが現れる。ドラゴンさんは俺のような雑魚を無視するのだが、バカで自分の力を過信しているグレイはドラゴンに喧嘩を売る。

これにはドラゴンさんも怒り、とりあえず俺を殺そうとしてくる。

予想以上のドラゴンの迫力にビビったカス、いやグレイは全力で逃げ出すのだがドラゴンは追ってくるのだ。



無様に逃げ惑うグレイ。そして出会う主人公の班。

グレイの選ぶ選択肢など1つだろう。

そう、もちろん、全て主人公班に押し付けて逃げる!!



この事件がきっかけとなり、ラノアはグレイに完全に見切りをつけ、カレンはグレイにブチギレる。まぁ主人公が何とかなだめてくれるんだが。




ちなみにドラゴンさんは主人公、今回で言えばターライトにボコボコにされ、種族を越えた友達になる予定である。

このドラゴンは邪神戦の時にも味方してくれるとてもありがたい存在なのだ!



このドラゴン友達事件は、ラノアとカレンによって広まり、ドラゴンに確認していた他の人間も同意したため、一気に主人公が人気になるのだ。

単騎でドラゴンを圧倒する人間とか仲良くなって損ないからな。



このことに怒ったのは我らがクズ、グレイである。まぁドラゴン怒らせたのもそれを押し付けたのもグレイなのだが。

ここから主人公に対する嫌がらせが一気に過激化する。






だが、今回俺はゲームのグレイみたいにやらかす気はない。どうなるのか少し不安で少し楽しみだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ