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2話

 鳩には〝帰巣本能〟というものがありまして、その名の通り本能で自分の住処に帰ることができるという習性があります。これを利用した伝達方法が伝書鳩なのですが、この鳩は少し違います。

 虹天集(こうてんしゅう)には遠くを見通せる千里眼と、鳥を操る鳥繰(ちょうそう)の魔法を持つ人がいて、その人たちがわたしを見つけ、鳩を寄越したのでしょう。

 でなければただの鳩がわたしを案内するかのようにペースを合わせて空を飛ぶなんて芸当はできません。もちろん魔力板(マギボード)に乗って全力疾走しています。

 そうして案内されたのは以前に一度だけ立ち寄ったことがある大きな都市。わたしが葬儀屋として働くために必要な手続きなどを行ったことがある場所です。それ以降、もう立ち寄ることはないと思っていたのですが、またここに来ることになるとは。

 あまりいい思い出はありません。


「葬儀屋の本部がある都市……面倒なことにならなければいいのですが」


 まぁまず面倒なことになることは確定でしょうけど。すでに面倒なことになっているから、わたしなんて爪弾きにされた葬儀屋に指名が入ったのではないかと睨んでいます。

 街並みは昔見た光景と大きく変わってはいません。

 大好物のパン屋さんの場所も変わっていませんでした。もし潰れていたりしたら悲しみに暮れているところでした。その点はほっと一安心。あとで立ち寄りましょう。ここのコッペパンが絶品なんですよ! 一度食べたっきりですけど、忘れられない甘さと柔らかさのハーモニーでした。


「パンはゆっくり楽しみたいので、すぐに済ませるとしましょう。用事を」


 鳩に案内してもらって、葬儀屋の本部までやってきました。

 この鳩がパス代わりにでもなっているのか、関係者に引き止められるようなことはなく素通りできました。そのまま鳩の案内に従って奥まで移動します。

 あまり気が進みませんね。正直なところ。

 重厚な扉の前に立ち止まって、二の足を踏みました。この扉一枚を隔てた先に、虹天集が揃っているはずです。


『入ってきていいですよ』

「……バレてましたか」


 そういえば向こうには千里眼の魔法を使える人がいましたね。それに鳥操の魔法は鳥と通じることができるらしいですから、接近を感知することもできるはずです。

 わたしはいい加減に諦めて、ドアノブに手をかけて重厚な扉を開きます。


「お待ちしておりましたホワイトさん」

「先輩おっそーいです! くたびれちゃったですよー!」


 そこにいたのは、たったの二人でした。7人じゃないんかい。

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