18話
唐突ですが、魔法について少しだけお話ししてあげましょう。
──魔法とは魔力に意味を持たせることによってさまざまな現象が発現する不思議な力です。
わたしの圧縮魔法とレッドの千里眼は、空間に漂っている魔力に意味を持たせることによって発動する同系の領域魔法。
早い話が〝陣取り合戦〟になります。
「隙ありです」
「──かっは?!」
うろたえているレッドの鳩尾に今度こそ掌底を叩き込むことに成功。
「わたくしに一体なにを……?!」
「レッドが視ているであろう空間を圧縮したまで。簡単です」
魔法使いとなった人間は魔力を感じ取ることができるようになります。レッドの魔力を感じる空間を包み込むように領域を展開し、圧縮した。というわけ。
と簡単に言っていますが、レッドの千里眼はわたしの圧縮魔法と違って必要な領域が小さすぎてほとんど感じ取ることができませんでした。
だから千里眼を誘導したのです。質問して。
レッドからすればいきなり視界が真っ暗になったように見えているのでしょうか。
「これで条件は整ったんじゃないですか?」
「じょう……けん……?」
「わたしはつい先程までイエローと戦っていたのですよ? このままでは体力的にそちらが有利でズルいじゃないですか」
「なるほど……では、ここからが本番ですね」
うずくまっていたレッドは姿勢を正し、カタナを構えました。
さっきのは初見殺し。同じ手はもう通用しません。レッドが言う通り、ここからが本番です。
わたしは手の平を前方へ。今度はレッドに対して、正確にはレッドのカタナに対して圧縮魔法を発動させます。殺すわけにはいきませんし、武器さえ無くなってしまえばこちらのもの。
「出来るとお思いですか?」
発動しかけた圧縮魔法はレッドの魔力に掻き消されてしまいました。何度か試しましたが、やはりそう上手くはいきませんね。
最初に説明した通り、領域魔法同士は陣取り合戦。自身から近いほうが強いし離れれば弱くなります。相手に魔法を使おうとしても潰し合いになるだけ。
だからこそ、お互いに近接戦闘を心得ているのです。
「峰打ちさせていただきますが、それでもよろしいですよね?」
「わたしを殺すつもりがないのなら、是非そうしてください」
万が一切られでもしたら本当に死んでしまいますからね。そんな万が一なんてあり得ませんけど。どや。
「────」
「────」
お互いにほんの僅か笑ってから、同時に駆け出しました。




