第91話
やっと倉敷さんからの定時連絡の時間が来たと思った矢先、そこに人の形のシルエットが描かれている紫色の四角形がスマホの画面に表示されていて。その右上に表示されているのは十時二十七分であった。それに対して、少しだけを息を吸い込みつつ足を曲げてそれを拾ってから、正座をしている私。スマホはしばらくの間ずっと繰り返し同じ音を繰り返していて、それを自分の顔の正面へと持っていくようにしてかた一度深呼吸をした。
それから通話のボタンをタップした後にスピーカーモードに切り替えて。それから向こうの声が聞こえてきた途端に背筋をまっすぐにしながら上瞼を少しだけ持ち上げるようにしていて。それから脇を締めたたまに両方の手をスマホの裏面に当てたまま自分の耳へと持って行った。
でも、それから聞こえてきたのは、ゆったりとした女性の声で。それを聞いた途端に私は一度口を数回音を立てないようにして動かしながら、一度だけ瞬きをする。でも、それに対して辺りからは何も音がしなくて。口をもう一度しゃべれるくらいの大きさに開くとともに小さな声を出す。そして、それから自分の言いたい言葉を出した。
「あっ、あの……」
もう一度肘を自分の体に押し付けるようにしながら顔をわずかに下へと向けたままに声を出すこっちに対して、向こうは何も声を出さずにいるのか、スマホから聞こえて来るのは周囲の環境の音として出てる雑音だけ。それを聞いている間も膝の上に乗っけたままにしている手をこぶしに変えてその場に乗っけたままにしていた。
それから一度杏の方へと視線を向けるけど、向こうは相変わらず体育座りのままにしていて、顔を下に向けたまま。それを上瞼を下ろしながら見つめようとしてたのに、でも、そっちからわずかな声がしたとたんにすぐに顔も目線も体と同じ向きへと戻した。
「倉敷さんは……」
顔を数回手で拭くようにしてから息を吐い後に出した声は少しだけ上ずってしまうようなものになってしまって。だんだんと消えていくと一緒に目線を横へと逸らそうとするけれど、それが終わるよりも早く女性の方から声を出してきて。その途端に私は顎を上へと押し付けるみたいにしてた。
「あの人はいつも忙しいのです」
ほとんど抑揚がないその声を聴いた途端、また自分のお腹を触ろうとしたけど、そこには自分の制服とその中に着ているシャツの感覚を味わうだけ。でも、その後すぐに目を開けながら背中と顔をまっすぐにしながら早口目に声を出すことになった。
「でも、この施設、あんまり合わなくて……」
その声を顎を下に向けたたまに出した私の声だけど、女性は一切何も聞こえなくて。それに対してこっちは小さな声を出し始めてそっちの様子を伺うみたいにしてたけど、で一度ため息をつく音がしただけ。
その声が聞こえた途端、そっちに対して声を一切出さずにいるこっちのせいもあって周囲からは雨が降っている音がただただ聞こえて来るだけになっていた。
一方で、私と杏の正面には斜めに進んでいくようにカバーを伸ばしてから重なって階段を作るみたいになっている学校用の教科書とノートが並んでいて、それらの私が見えている場所は全く日影がなくて、わずかに入っている光をその表面の光沢で反射しているようであった。
「明日の001の定期健診、ちゃんと忘れずに来てくださいね」
数秒間後に聞こえてきたその声に対して、私が数秒間してから返事をすると、その直後に「じゃあ切るわね」という声とともに電話は消えてしまって。私もそれに対応するみたいにわずかな声を何度も出そうとするけど、でも、その瞬間にはもう電話が切れる音がしていて。それに気づいた途端、顎を下に落っことした状態で何かを言おうとするけれど、でも、杏はそれに反応することもなかった。
それから私たちが見ている周囲の様子を見渡すように一周するのに対して、その灰色の明かりに薄く照らされている部屋の中で、わずかな色をしている影の様子を作っている家具たち。私も同じようなものを壁に作り上げている様子を見ていることになって、それは終盤の方で見え始めていた杏が私にあげようとしていたプレゼントの熊も一緒であった。
そんな光景を目尻を落っことしたままに下唇へと上唇をくっつけたままで見つめ続けるけど、指に力を入れようとしてもそれもうまくいかなくて。でも、それでも私はただただ立っていることしかできない。そして、それのせいもあって周囲からはただただ雨が屋根にあたっている音を感じることしかできなかった。
「木月さん、今、時間いい?」
その声がドアの向こうから聞こえてきた途端、私は音を鳴らしながら息を吸い込む。そして、それと同じタイミングで一気にそっちへと振り返り、眉毛を上へと持っていくようにする。
でも、それで口が開いた途端に、一度聞こえたもののもう何もなくなってるドアの方をじっと見つめ続ける。でも、それをおでこの奥から見るようにしている私に対してそっち側からは聴覚的にも視覚的にも一切変化することがない。
でも、それから自分の制服と足の近くに落っこちているカバンの姿をもう一度見てから目を少しだけ大きくするようにして。いまだベッドの上に放置しっぱなしの腕時計を拾わずに目線だけで見つめて電話がかかってきてから数分しか経ってないのに気づいてから、こっち側からドアノブを掴んでその音がしたのを耳と手のひらで感じ取ってからそれを開けた。
そっち側には両方の手を背中側でつなぐようにしてわずかに前のめりになっている宿直生の姿があって私がわずかに口を開けながら体を少しだけ前にしている一方で、それに対して向こうは自分の手のひらを少しだけ逸らすみたいに指が天井へと向けるみたいになっているのを見ていると、鼻から一瞬だけ息を吐きながら口元を横へと伸ばしていて。
それに対してこっちは口を小さくしながら自分の右の手で左の前腕をつかみながら目線を横へと逸らすみたいにしてからそこへと向ける。それと一緒に唇も小さくするように力を籠めるけど、そっち側には私たちのベッドが壁にまで到達していない姿を見ることしかできない。その薄暗くなっているところには角の所に埃の綿が少しだけたまったままになっているのを見つめる。でも、それが動くことは一切なかった。
「あの……」
顔はそのままに視線をそっちへと向けるけど、それに対してそっちで立ってる人は少しだけ目を開けるみたいにしてから頭を後ろに向けるみたいにしていて。それから口を開けると言葉になってないけれど明るい声を軽く出したと思ったら、それを見た私の顔を下に向けたまま転がすみたいにして体と同じ方を向かせる。
「星田。星田遥。ちゃんと両親からもらった名前ね」
自分の名前の先頭を強調するみたいにしてから自分の右肩の辺りをそっちの手で触れる星田さんは、それに続けてフルネームを言うとともに一度手を付けた方へとえくぼを作るような表情を見せていて。それからわずかに左目をウィンクするみたいにしてから続きを一度思い出すような声を出した後に少しだけ早口にしてから話を言い続けた。
一方で私はその姿を下の唇に上のへと力を籠めるみたいにしてから少しだけ口を開けて、その前に自分の手を当てるみたいにするけど、私のとは違う制服姿でいるその恰好を下から上へとみていくと、私よりも高い背や膨らませている胸などを見ることになり、喉を自然と押しこみながらまっすぐと息を吐く音を立てるみたいにする。
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