第90話
喉を鳴らすようにわずかな音を立てながらゆっくりと上瞼を持ち上げるも、それのせいで雨の音が聞こえてきたと思った途端に、雲の上から入ってきてる太陽の光が眩しくてその途端にこぶしを目へとこすりつけながら息をゆっくりと吐いてたけど、それから立ち上がろうとしたら体育すわりにしてた足が痺れるせいですぐにお尻が一瞬だけ持ち上がった体勢から落っこちる。
でも、痛みを一瞬だけ味わった途端にはっと目を開けた私は背筋をまっすぐにしながらすぐに横へと振り返ると、私と同じように膝をまっすぐ上に向けたままにそこへと肘を引っかえて脛の前辺りで両方の手をつないでいる杏の姿があって。その人の体が残っている手と金属で出来上がったもう片方を見た後に、私は口を横へと広げつつ、上の唇を下のへとくっつける。
一方で、杏は顔を地面へと斜めに向けたままに目を閉じていて。その姿勢のまま一切動かずにいる。その姿へと私は肩を使って前のめりになることで顔を少しだけ傾ける状態のままにそっちをただただ見つめ続けるように。
その間も、外では雨がしとしとと落っこち続けている音を窓越しに私たちの方へと聞かせ続けていて。それと同じように私の周りには湿った涼しい気温を感じさせられる。その音を聞いているのもあって、棚よりも大きく前には出さないでいるつもりでいた私の足が自然とそっちへと伸びていくことで、体の前で立っていたそこがだんだんとへこんでいくのをただただ見続けていた。
でも、その次の瞬間、また外の廊下から人が歩いているのを感じた途端にまた両方腕が肩よりも少し下の辺りで地面と前腕を平行にするように曲がって。それに対して私は息を吸い込むようにして指をわずかに落っことしているの以外には一切動くことができずにいる。
それに対して、廊下から聞こえている音はどんどん大きくなっている上に、ほとんど聞こえなくなっている個所がどこにもないと思えるほどの勢いで進んできているそれのせいで私はほとんど息もできずにいて。
でも、それなのに向こうは勢いよく私と杏の部屋のドアを開けると一緒に、ドアノブに手を乗っけたまま体を斜めにして正面を見てたと思った数秒後にはこっちを見て。それの後に一度体をまっすぐにして部屋からいなくなったと思った一秒後には背筋をまっすぐにしていた。
「木月さん、あのね、あなたが来ないせいでみんな待ってるの、わかってる?」
顔を正面に向けたまま目線をこっちへと向けてくる一方で、私がゆっくりと立ち上がって足を曲げたままに少しずつ体を持ち上げていき、お尻を下の方へと向けたままに両方の腕を少しだけ横へと広げたままにしていると、先生も視線をだんだんと上へと向けてきてて。
それに対して、こっちは向こうを上へと視線を向けるみたいにしているけれど、でも、先生は何も変わらないままになっていて。それをしばらく見てたらだんだんと視線を落っことしてしまっていたと思ったら、顔の向きもそれと一緒に動いているのに気づいて、顎を引込めながらいる。それから口を開いてわずかな声を出すけど、それに対して周囲からはただただ外で雨が降っている音が聞こえてくるだけだった。
「雨……降ってるし……」
自分でも外の冷たい空気が唇と触れ合ったことでようやく開いているのを感じるくらいで出た声は、全部言い終わったタイミングでようやくその中身を自分でも理解したように感じて。
それから顎と一緒に視線を上へと向けるようにする。でも、それに対して、一度私も杏もいない方へと視線を向けている向こうは一度ため息をつくようにしていて。私にもその音が聞こえて来るほどの大きさだった。でも、それに対してこっちは喉を飲み込むように動かすくらいしかできない。
先生は口を閉じ終わるとそのまますぐに髪の毛を翻すようにしながらすぐにそこから離れていくみたいにしていて、そのままドアの枠にまで体を通してしまっていて。それから慌てて小刻みに足を動かしてその背中を追いかけていくけれど、でも向こうは全然止まってくれずにいつも通りのペースで進んでいってて。
それを追いかけて私も体を前のめりにしながら腕をまっすぐに伸ばして体を廊下へと落っことしそうになりながらなんとか両腕を回転させながらなんとか数歩滑りそうになりながらバランスをとってた。それに対して、向こうは一度だけ足を止めるようにしたタイミングでこっちへと視線を向けてくる角度へと向けるのに合わせて顔だけの角度を変えてこっちを見てくるようにしていた。
「ニュースになったら困るから、出ていくなら木月さんが勝手に出て行ったことにしてね」
それのせいで、両方の膝に腕を乗っけながら体を前のめりにしている私に対して、向こうはすぐに視線を変えるかのようにまっすぐに進んでいく。それのせいで、雨のせいでわずかに灰色が交じり合うかのような周囲の中で私はただただ固いもの同士がぶつかり合う音がただただ聞こえているだけで。その中でまっすぐに1人で立っているだけで目線を下ろすと一緒に前にいる手も下へと向けたままにしていた。
でも、向こうに見えるリビングから見えている白い灯りはドアから抜けて来ているせいで床を四角く切り取るみたいにしているし、そこから聞こえて来る黄色い声と後ろからしている雨が降って建物の屋根にぶつかり続けている音を聞いていることしかできずにいた。
一方で、杏と一緒の部屋に戻っていくけれど、それに対して杏はいまだ目を閉じたままに膝に肘を引っかからせるみたいにした体育すわりをしてしまっていて。それに対して私は一度だけ口を開けたままに声を出そうとしたし、それから向こうの下を向いている頭へと向けて手のひらを見せるように甲側を膨らませるみたいに腕を出したけど、でも、私の大きく開いた目で見える視界の中で杏は一切動こうとしない。
「杏……」
それからわずかに口を小さく出している私に杏は目を勢い良く開けると一緒に首を一瞬でこっちに向けるように動かしてから、2秒ほどそのままの姿勢でいると思った次の瞬間、両手を離した途端にすぐお尻に力を籠めることで立ち上がると、ただただ両方の手をまっすぐに下ろしたままに私を見下ろすような形でこっちを見てきてた。
それから、さっきのゆっくりと落としていくようにしている声とは逆の感じで杏の名前を呼ぶ。でも、向こうはただただ私の姿をじっと見下ろしているだけでその顔や目の角度を変えることもなくただただこっちに影を作るでもなく壁を背にしてまっすぐに立っているだけだった。
また体の背中と右側へと壁をくっつけられる隅っこに体をくっつける上に、開いている左側に杏を座らせている私に対して、周囲からはただただ雨の音と私がたまに呼吸している音くらいしかしない。それに対して、正面には床の上に転がっている口が開いたままの私の新しい学校で指定されてるカバンからわずかに教科書の山が見えていた。それを見ながら顔をだんだんと膝の乗っけた腕の上にのっけるようなそれの影になるとこに顔の下半分を隠すようにする。
一方で、外からずっと聞こえ続けている雨の音だったり、ベッドの上に放り投げたままの腕時計がわずかな秒針をずっと鳴らし続けていて、そっちへと視線を向けるようにしているけれど、その様子はこっちから見えないけど、お尻が重くて私はとても動けそうにない。
それから、一度ため息をついてポケットに入れていたスマホのスリープを解除し、それを片手にした状態で親指を軽く立てているままに電源ボタンへと力を入れずに添えたままにしていた。でも、そこにデジタルで表示されている十時二十三分の数字が動くことは一切なくて、それを私はただただ目を細くするみたいにして見つめ続けている。
もう一度指を持ち上げてから素早くいつものペースで暗証番号を入力。それから、唇も強く締め付けるようにしたままにホーム画面を見つめながらそこにある最初からあったアプリたちの一覧をただただ眺めているのに対して、もう一度右の親指だけを動かしてアプリの一覧を引っ張ってくるけど、それを閉じてまた一度ため息をつくだけ。
それを手に持ったまま、杏の方へと振り向く。でも、そっちはただただまた頭を落っことしたままに同じポーズをして目を閉じている。
それに対して、私は一度下唇を上へと押し付けるような表情をしそうになるけど、でも、頬に手首の先端を当てるようにして一度ため息を吐く。でも、それに対してまた周囲からは雨の音しか聞こえなくなって。それに、私たちの部屋には電気がついていなかったせいで辺りは廊下の時と同じ灰色に包まれたままだった。
「なぁ、杏……」
スマホのバックライトが消えるのに合わせてわずかな言葉を息と一緒に吐き出すような形で発すると、それに対して機械が何かとぶつかり合うような高い音を立てながら杏がゆっくりとこっちを見てくるようにしている。
でも、向こうはその動きが終わったと思った途端、その眼の中に私の顔を映しているだけで、そのかなりの面積を黒い瞳孔にしている目の様子をただただ私は視線だけをそっちへと向けたままに顔をまた鼻と口の間を手に押し付けるみたいにしてただただ時計が音を鳴らしているのを感じ続けていた。
「私さ……」
その言葉を出した途端、両方の唇に強く力を込めて。さらに目も両方の眉に力を籠めるみたいにしてから自分の肘を足の横へと落っことすようにしたままにそれへとくっつける。それから背筋を曲げると、ドアへと頭が近づく上にそっちの方にはリビングもあって。
でも、それに気づいた途端、私は何度も顔を左右に振り回しながら髪の毛も動かして。それから自分の手のひらの付け根辺りを何度も瞑った目に押し込む。それから一度息を吐いてから杏の方を振り返って口を横へと開きながらその手に触れようとする。でも、そのタイミングで遠くの方に触れようとしたら、そっち側から機械の音がしたのに気づいて、杏の手が私のの間を滑り落ちていくのを感じた途端に、それから自分に近いところにある右手へと持ち替えた。
「ごめん、なんでも、ない。ほんとに、なんでもないから……」
体を杏の方へと向けたままにそれと平行になるような形で手のひらを向けたままに前後に動かし続けていたけれどいつの間にか私は立ち上がってて体を前のめりにすることでそっちの体の半分くらいを覆うような体勢になってた。
でも、そう思ったけど、体が一気に跳ねるみたいに少し体を反らした状態になっているのに気づいて。それから自分の足元に置いてたスマホが音を鳴らしているのに気づいていた。
読了ありがとうございます。




