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Lunatic  作者: コンテナ店子
第二部前編
88/216

第87話

 ハリーと別れてから私が乗ってた先生の車は、施設の前に到着するタイミングで動きを止めるけれど、それに対して運転席とは反対側の後部座席に乗っていたせいかシートベルトをしたままに体を少しだけ揺らす。でも、それに対して腕をお尻と背中の真ん中よりも少し上の辺りはシートとくっつけるみたいにしたまま、ずっと足の方へと視線をただただ落っことし続けていた。


 それから、自分の体のすぐそばにある窓の方を見るともう夜も深くなってるみたいで、車の前にあったライトが消えることで、そっち側も真っ暗で何も見えなくなっていた。それから椅子を引きながら息をゆっくりと吐いて、その音を自分の耳でも聞いていたら先生の視線を感じたら私もそっちに合わせるみたいに目線を持ち上げてから向けるけど、でも向こうはただただ顔の3分の1ほどだけこっちへと向けるみたいにしているだけ。それから一瞬だけ声を出すみたいにしたこっちに対して先生は肩を椅子の上に乗っけるみたいにして振り返ってきた。


「あのね、この前言ったこと、もう忘れたの?」


 最初の一言で首を動かすみたいにした先生はそれをゆっくりと一文字一文字を強調して話始めたけど、さらにそれに続いた言葉を一つ言い終えるたびに息を吐く音をこっちにも聞こえさせてくるようだった。その一方で、私は歯の奥側を意識して噛みしめながら目を細くして頭を窓へとくっつけるけど、そっち側では誰かが住んでる一軒家の黄色に近い色の灯りがただただ見えていて、子供と母親の声が何かを話しているのが聞こえてきてた。


 そこへと続いている道路の上に目線を垂らすみたいにしていると、わずかに口から呼吸が漏れる感覚を味わってたら膝の上に置いてた手から力が抜けるような気もするし、シートベルトが引っかかって私の体に強く入り込んでくるみたいな感覚を味わう。そのままただただでこぼこと小さな亀裂を作っているアスファルトの上を見つめていると、それに対して先生がため息をつきながらもう一度シートの上へと乗せている腕を乗っけている音をこっちに聞かせてきた。


「ハリーは、私を支えてくれた友達なんです。先生よりも長い間」


 一度出した声を少し止めて、私がわずかに漏らすみたいに続けたそれが車の中から消えていくほんの1秒にもみたいなような間を感じている間、周囲からは何も音がしなかったけど、それに対して外を走っていく音が聞こえたら、それは私のよりも明らかに大きいもので、その上に周囲の暗い闇も一瞬だけど回るみたいになくしていっていた。


 それがいなくなってから数秒後。一旦口を開けて外の空気をそこへと入れてからまた言葉を発し始める私がただただ外を眺め続けているけれど、一方でそこに反射して映っている私の姿はただただ私が想定している顔の動きと全く同じ様子を見せているだけだった。一方で、一度また鼻から呼吸を出した先生は私が話すのを終えたタイミングで一瞬だけ呼吸を吸い込んでからまた口を開く。


「だったら、今すぐ施設を出て外で暮らしてくれる? そのハリーさんと一緒にね」


 その言葉とともにすぐに車を出ていく姿を目線だけを向けて追っていくけれど、それに対して向こうは一切ペースを緩めないままにドアを閉めていた。それから、私も数秒間そのままでいたけれど、反対側の窓が叩かれた音に気付いた途端そっちに視線を向けているけれど、そこには先生のと思われる腕と上半身だけが見えているのを視線だけで見ることしかできない。それからシートベルトを外す音を車の中全体に響かせるみたいにしてから私は車を出た。




 歯を強く噛みしめながらまぶしい部屋の明かりに目を細めながら歩いていく私に対して、リビングへとつながる引き戸を先生が引いたのに気づいた瞬間、一度だけ辺りからどっと音がしたのに気づいたけれど、それで私の足が止まろうとした時にはもうそっちの中に入ってて、一緒に暮らしている施設生が全員こっちとその横にいる先生の様子を見ていた。息を吸い込みながら胸元に手を寄せてその手前辺りで両方とも違う角度で斜めに立たせるみたいにしているこっちに対して、辺りは何も言わずにこっちを見てきていた。


 そうじゃないところを目線だけを動かして探そうとしたけど、ただただまっすぐに座っている杏とその斜め前辺りで座っている、おでこの辺りに氷が入った袋を当ててる女子だけ。そんな光景を見ながら私はわずかな声を出してもう一度目を左右へと動かすけれど、それに対して先生も含めて私の方を見てきている姿はどこにもない。


 辺りでは私の声を除けば氷がたまに動いている音と、時計の針が1秒ごとに動き続けている感覚しかない。それがしばらくの間続いてから、杏の方へと向けて数歩歩いた私は、それと一緒に言葉にならない声を上げようとしたけど、その瞬間に氷をつけてる女子がこっちに片目だけを向けるみたいにしてきて。その途端にこっちは体を後ろへと肩を使って下げながら息を吸い込むみたいにした。


「杏……何が……」


 そのまま数秒間同じままにいそうになったけれど、それに対して氷を持ってる女子がため息をついて一度顔を下へと向けてから椅子を引いて立ち上がる。それから投げ捨てるみたいに無造作に椅子を机の下に戻すと、それと共にこっちに近づいてきてて。それから私は数歩だけ後退りをさせられてしまう。


 私の前に立ったと思ったら、向こうはそのまま横を通り過ぎてきてそれに対してこっちが一瞬だけ目を開けるけれど、それで音も出なかったせいか向こうはただただ先生の前まで足を進めたままだった。それからそっちに振り替えると、別に私には何もしない向こうはただただ先生の方をみるようにしながら片方の腰の上に手を乗っけたままにしてた。


「あいつら、ほんとなんなの、いきなりやってきてこんなことしてきて」


 途中で一気に声のトーンを上げるけど、それ以外の部分では先でも後でも女子にしては明らかに低い声を出していて。それに対して上唇を下唇で押すみたいにしながらこめかみに汗をかく感覚を味わう。


 それに、その後歯同士をこすり合わせるみたいにしている口元を動かすけれど、しかし、それに対して先生も一度ため息を吐きながら上の瞼を少しだけ落としながら顔をその生徒から目線を反らしていたけれど、それがこっちに来るわけでもなくてただただどこでもない場所を見つめるようにしていた。


「いやそんなこと私に言われても……」


 本当に何もないみたいに、ほとんど向こうが話したのを聞いた後に言葉を伸ばすみたいにしていた一方で、言われた側の生徒は一度大きくため息をついてから体を回すみたいにしてて、すぐに体をまっすぐにしたままに先に進んでいくけれど、その一方で私は肩を落っことしたままに口を紡ぐ。


 それからあたりの人たちがみんな互いを見合いながら笑い声が聞こえている中、私は両方の手で着ているうさ耳パーカーの裾を掴むみたいにしたまま歯を強く噛みしめる。でも、周囲の話声だったり歩いている足音だったりが止まることはなく、私の前だったり後ろだったりを遠慮なく歩いていく様子を見せつけられるけど、それと視線が合うことはない。


 一方で、私は何度もそれを戻しながらも杏へと視線を向けるみたいにしてからその様子を見るけれど、そこで椅子に座っている人は何人もいる一方で、そこにまっすぐと座っているのは杏だけ。そっちに近づくか一瞬だけ迷うけれど、口を強く紡ぎながら目元にもしわを作るみたいにすることで両方の腕と足を限界までまっすぐにしたままに小刻みにそっちへと向けて私は歩き出した。

読了ありがとうございます。

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